エーザイが開発中止の「認知症薬」復活のわけ

株価急騰、世界初の治療薬に高まる期待

認知症の患者は現在、世界で5000万人と推計されている。2030年には8000万人に増えると見込まれ、介護などを含めた周辺コストは200兆円を超えると言われる。ただ、現在販売されている認知症薬は症状を一時的に緩和するだけで、病気そのものを改善させるアデュカヌマブのような根治薬は存在しない。開発に成功すればエーザイは莫大な収益を手にすることになる。

それだけに、アメリカのファイザーやイーライリリー、スイスのロシュなど世界の巨大製薬企業がAD根治薬の開発に巨額の資金を投じてきた。が、開発はことごとく失敗。業界内からは「エーザイの開発も残念ながら絶望的だろう」という声も聞こえてくる状況だった。

エーザイはなぜ中止薬剤の申請をしたのか

そんな状況の中で今回、エーザイが一度開発を中止した薬剤を一転、申請することになったのはなぜか。

経緯はこうだ。アデュカヌマブの治験では、遺伝子の型や症状の進行度合いなどの被験者の条件、投与用量などがまったく同じ試験が2本行われていた。試験のスタート時期はそれぞれ2015年8月と同年9月で、1カ月の差がある。

そして、2018年12月時点で、決められた一定期間の投与が完了した被験者のデータを分析。その結果、2019年3月に「成功する確率は低い」と第三者機関から判断され、中止に至る。この時の分析で対象になった患者は、全参加者の約半数、1748人だった。

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