“普通”になった国産ジェット機MRJ、大型受注でひとまず面目
「新たに100機が売れたことで、事業の信頼性が大きく高まった」。記者会見後も三菱航空機の江川豪雄社長は上機嫌だった。
同社は国産初の小型ジェット旅客機となる「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の開発・生産のために設立された三菱重工業の子会社。
国費500億円を含めて1800億円にもなるMRJの開発費を回収するには、少なくとも350機の受注が必要とされる。これまで受注は全日本空輸からの25機だけだったが、米国の地域航空会社であるトランスステーツ・ホールディングスが海外勢で初めて100機の購入を表明し、弾みがついた格好だ。
10月2日の会見で、トランス社のリチャード・リーチ社長は「客室が広く、低騒音で(同種の機体に比べ)燃費が20%以上よい」ことを購入の決め手に挙げていた。三菱航空機は2006年から26年までに、世界で70席から99席の小型ジェットの需要が5000機あると見積もっている。
江川社長は「控えめに見ても3000機の需要があり、うち1000機はMRJで取りたい」と従来からの目標を改めて強調していた。
素材変更を決断
この新規受注に先立つ9月9日、三菱航空機はMRJの設計とスケジュールの見直しを発表。設計変更は客室の拡張、前方貨物室の廃止、主翼の材料変更の3点だ。これで、初号機納入は13年末から14年1~3月へ延期された。
中でも注目を集めたのは、主翼材料の変更だ。MRJの最大の特長の一つが、軽量化で燃費向上が期待できる炭素繊維複合材(CFRP)を主翼や尾翼に使うことだった。
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