“普通”になった国産ジェット機MRJ、大型受注でひとまず面目

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CFRP加工は金属に比べて段違いに難しい。三菱重工ではこの素材を採用したボーイング「B787」の主翼を担当しており、大型機での経験はある。だが、ずっと小さいMRJでは難度が高すぎた。

航空機用CFRPは世界シェア約7割という日本企業のお家芸。主翼への採用は「日の丸ジェット」の独自性をアピールするうえで目玉だった。だが、新しい素材だけに、地域航空会社レベルでは整備体制も追いつかない。「売り」が思ったほど客先に歓迎されなかった可能性もある。

三菱航空機の宮川淳一常務は、「MRJの燃費改善要因のうち2分の1は新型エンジンによるもの。残りは空気力学設計の改善と、胴体の形状による空気抵抗軽減が半分ずつ」という。素材で軽量化を追求せずとも、燃費による差別化は十分期待できると判断したわけだ。

国家プロジェクトとしてさまざまな期待を背負うMRJだが、いわば市場の声を聞いた結果、“普通の飛行機”になったといえるだろう。

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西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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