米国経済、意外に小さい寒波の影響 米住宅関連の重要指数が示すもの

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2月18日、この日発表された指数で明らかになった米住宅建設業者の心理悪化は、厳しい寒波だけが原因というわけではない。米カリフォルニア州で昨年10月撮影(2014年 ロイター/Mike Blake)

[18日 ロイター] -18日発表の指数で明らかになった米住宅建設業者の心理悪化は、厳しい寒波だけが原因というわけではない。住宅バブルの崩壊から7年がたった今も、建設業が根深い問題を抱えていることを浮き彫りにした。

全米住宅建設業者協会(NAHB)が18日に発表した2月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は46となり、1月の56から10ポイント低下。前月比の下げ幅としては、1985年の集計開始以来の最大となった。この指数が50を割り込んでいることは、市況が悪いという回答が、良いという回答よりも多いことを意味している。

専門家は、建設業者の心理悪化の原因は根深く、建設セクターは依然、住宅市場の崩壊時に被った痛手を引きずっている、と指摘している。その結果、建設業界は今でも、慢性的な人手不足や厳しい融資環境、新たな用地への投資をためらうデベロッパーに悩まされている。

寒波の影響は意外に小さい

オンラインの不動産データ会社であるトゥルーリアは、過去10年間の天候や住宅に関するデータを分析した。その結果、寒波がここ近年の建設活動を縮小させた率は最大でも2%にすぎないことが分かった。

天候よりもむしろ、住宅市場の崩壊に伴い多くの都市で発生した空家の存在が、新規住宅建設を冷やす大きな原因になっている、という。

トゥルーリアのチーフエコノミスト、ジェッド・コルコ氏は、ラスベガスやマイアミ、フェニックスでは空家がなお多いと指摘。米住宅市場の約3分の2に相当する新築1戸建て住宅の建設が伸び悩んでいるのは、天候ではなく、むしろ空家の影響が大きいとの見方を示している。

データ会社プロパティレーダーの経済リサーチディレクター、マデレン・シュナップ氏は、バブルの崩壊後、建設セクターは「全滅」した、と話す。

米労働省統計局によると、2008年の世界市場の混乱に端を発する不況で820万人が失業、うち230万人は建設業だった。ところが建設セクターにはいまだに、熟練労働者が戻ってきていない、という。

シュナップ氏によると、建設業を阻害している別の原因は、米国の住宅保有者の多くが依然として、保有不動産の価値を上回るローンを抱えており、住み替えがしにくくなっていることだ。住宅関連の調査会社コアロジックによると、米住宅保有者のうち13%が、いわゆるネガティブエクイティの状態にある。カリフォルニア州では、この割合が20%にも上るという。

NAHBのシニアエコノミスト、ロバート・デンク氏は、銀行が融資基準を厳格化し、建設業者が融資を受けにくくなったとも指摘した。

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