米国経済、意外に小さい寒波の影響 米住宅関連の重要指数が示すもの
[18日 ロイター] -18日発表の指数で明らかになった米住宅建設業者の心理悪化は、厳しい寒波だけが原因というわけではない。住宅バブルの崩壊から7年がたった今も、建設業が根深い問題を抱えていることを浮き彫りにした。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が18日に発表した2月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は46となり、1月の56から10ポイント低下。前月比の下げ幅としては、1985年の集計開始以来の最大となった。この指数が50を割り込んでいることは、市況が悪いという回答が、良いという回答よりも多いことを意味している。
専門家は、建設業者の心理悪化の原因は根深く、建設セクターは依然、住宅市場の崩壊時に被った痛手を引きずっている、と指摘している。その結果、建設業界は今でも、慢性的な人手不足や厳しい融資環境、新たな用地への投資をためらうデベロッパーに悩まされている。
寒波の影響は意外に小さい
オンラインの不動産データ会社であるトゥルーリアは、過去10年間の天候や住宅に関するデータを分析した。その結果、寒波がここ近年の建設活動を縮小させた率は最大でも2%にすぎないことが分かった。
天候よりもむしろ、住宅市場の崩壊に伴い多くの都市で発生した空家の存在が、新規住宅建設を冷やす大きな原因になっている、という。
トゥルーリアのチーフエコノミスト、ジェッド・コルコ氏は、ラスベガスやマイアミ、フェニックスでは空家がなお多いと指摘。米住宅市場の約3分の2に相当する新築1戸建て住宅の建設が伸び悩んでいるのは、天候ではなく、むしろ空家の影響が大きいとの見方を示している。
データ会社プロパティレーダーの経済リサーチディレクター、マデレン・シュナップ氏は、バブルの崩壊後、建設セクターは「全滅」した、と話す。
米労働省統計局によると、2008年の世界市場の混乱に端を発する不況で820万人が失業、うち230万人は建設業だった。ところが建設セクターにはいまだに、熟練労働者が戻ってきていない、という。
シュナップ氏によると、建設業を阻害している別の原因は、米国の住宅保有者の多くが依然として、保有不動産の価値を上回るローンを抱えており、住み替えがしにくくなっていることだ。住宅関連の調査会社コアロジックによると、米住宅保有者のうち13%が、いわゆるネガティブエクイティの状態にある。カリフォルニア州では、この割合が20%にも上るという。
NAHBのシニアエコノミスト、ロバート・デンク氏は、銀行が融資基準を厳格化し、建設業者が融資を受けにくくなったとも指摘した。
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