「使用済み紙おむつ」リサイクル品は売れるのか ユニ・チャーム、2021年度以降商品化を目指す

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2つめは、リサイクル紙おむつを量産化するための体制作りである。ユニ・チャームは福岡県や香川県、福島県などに紙おむつの大型工場を持つが、リサイクル紙おむつをどこで、どれぐらい量産化するか決まっていない。今後は量産化技術の確立に向けて、同業や異業種を含めたリサイクル紙おむつのコンソーシアム(共同事業体)立ち上げを見据える。

さらに、そもそもリサイクル紙おむつが消費者に受け入れられるのかという問題がある。特に、赤ちゃんが使用する子ども用紙おむつは、いくら汚れを除去したからとはいえ、母親がわざわざリサイクル紙おむつを選んで買うのか疑問が残る。

まずはトイレットペーパーから展開

これに対して、CSR本部・リサイクル事業準備室の亀田範朋室長は「使用済みペットボトルを再びペットボトルとして利用する事例が出てきている。ペットボトルは口につけるものだが、リサイクル品だからと気にする人は少ないだろう。リサイクル紙おむつも社会にうまく働きかけていくことができれば、消費者の捉え方も変わっていくかもしれない」と語る。

ユニ・チャームでは消費者心理を少しでも和らげるために、まずは使用済み紙おむつで作ったトイレットペーパーやメモ帳を発売し、それが浸透した後に紙おむつへ展開することも考えているという。

環境配慮への意識が社会全体で高まる中で、リサイクル紙おむつをどれくらい普及させることができるのか。意欲的な分野に果敢に挑戦するユニ・チャームだが、事業を軌道に乗せるには高いハードルが待ち構えている。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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