「ロードスター」をこよなく愛する人の共通点 10年ぶりに開催されたファンイベントに潜入

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茨城県の高橋優一さん(51)と次男の亮馬さん(20)。それぞれNAとNBで、そのほかに長男の拓馬さんNA、優一さんの奥さんが通勤用にNDという、ご一家で4台のロードスター持ち。優一さんは長女にはNCを勧めたが聞き入れてもらえず、軽自動車に乗っているという。長男、次男に「馬」の文字を使ったのはロードスターの設計思想「人馬一体」からの引用。家族全員がそれぞれのロードスターを運転して外出することもある。

皆さんの話を聞いていると「人生を楽しんでいる」ことが、こちらにしっかりと伝わってくる。

これこそが、マツダが目指したことだ。2代目、3代目で開発主査を務めた貴島孝雄さんにも話を聞いたが、ロードスターはお客さんもメーカーも「誰もが幸せになるクルマ」だと強調する。

さらに「お客様の声を聞くことが大事だが、すべて聞いていたら商品はできない。だが、本質的に何を期待しているかを捉えて、それを少しでも商品に反映する。その意味でも、毎年開催の軽井沢ミーティングや今回の30周年ミーティングで、ファン同士、ファンとマツダがロードスターをメディアとしてクルマの楽しさを共有することが大事だ」と、貴島さんはロードスターへの思いを語った。

三次で感じた、マツダの強さと弱さ

今回のイベント現場でも明らかなように、マツダの人は皆、人情深い。半面、それが弱さである。その弱さは、フォードとの協業の中で露呈し、マツダは多くの仲間を失った。逆境から自力で立ち直ったのが、CX-5を筆頭とする第6世代商品群だ。その勢いを、マツダ3(国内でのアクセラ改め)から展開する第7世代商品群へと結びつけたいところだが、実情は厳しい。

マツダには、中期経営計画では文面化しえないような、人情深い、人間くさい、人間らしい商品づくり、そしてブランドづくりができるはずだ。「いってらっしゃい」と走りゆくロードスターたちに手を振りながら、マツダらしい企業のあり方とは何かを、筆者なりに思い浮かべた。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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