「DNAが合わない」と言われた夫婦が選択した道 「寝返りを打たないで」と夫から言われた妻

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「家にいても疲れがまったくとれないの。というか、全然寝れないの。だってさ、旦那と同じベッドで寝てるんだけど、“寝返り打たないで”とか言われて、冗談かと思ったら、寝返り打ってベッドが揺れるたびに目が覚めるからってガチギレされるしさ。

だからって別の部屋とかに布団敷いて寝ようとすると、またガチギレするんだよ。もう布団に入ると横向いて固まったままで私マジヤバイんだけど」

それを聞いた私はうっすらあることが頭をよぎり、ほかにも神経質な行動がないか詳しく聞いてみました。

「テレビのリモコンの電波を受信する数ミリの小さな赤い明かりが嫌だから、ばんそうこうを貼れと言われる」

「カーテンからの隙間を怖がって、少しでも開いてしまうと起こされてしまう」

「仕事がとにかく続かなくて、1年もったことがない」

「時間管理や持ち物管理ができなくて、忘れ物や遅刻が日常茶飯事で1週間でクビになる」

「紗季の周りの友人らに、紗季と縁を切ってくれとキレながら電話してまわった」

「同性でも紗季と親しくしている人が気に入らない」

「言葉のキャッチボールができない。こっちが強く言うとパニックになる」など、出てくる出てくる。

発達障害かもしれない

「ご主人、発達障害かもしれないね」

この相談を受けた数年前の当時は、まだ今ほど大人の発達障害がニュースになっていなかったので、紗季はピンときていませんでした。私はその場でネット検索し、スマホを紗季に渡し、チェックテストをしてもらいました。

「……どうしよう。全部当てはまってる。ずっと、なんでたろうって理解できなかったけど、ようやく腑に落ちたよ。本人と話し合おうにも話にならなくて、本当にしんどかったけど理由がわかって少しほっとしたよ」

よくよく話を聞けば、結婚すると決まった際に旦那さんの母親から、「本当にうちの息子でいいのか。大丈夫なのか」と何度も心配されたといいますし、紗季の家族はずっと結婚には反対だったそうです。

しかし、反対されるほど「私なら大丈夫」と思ってしまい、「結婚」という二文字に舞い上がっていたし、結婚して一緒に住むまではそこまでとは思っておらず、「個性的で面白いじゃん!」なんてあまり深く考えていなかったそうです。

発達障害と一言で言っても、どのような生活習慣があるかは人それぞれですので、必ずしも全員がこうというわけではありませんが、これはとても難しい問題です。

紗季は見るからに疲労困憊していますし、何しろ睡眠がとれない状況なうえに、近しい友人らとも縁を切らされて八方塞り。さらには旦那さんが働けない分の経済的負担もすべて紗季にのしかかっています。このままでは紗季のメンタルが崩れるのも時間の問題です。

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