ジリ貧の「東京モーターショー」は再び輝けるか 10月24日に開幕、異業界からの出展も際立つ

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そこで、今回は業界の壁も取り払い、次世代モビリティの試乗など来場者が体験する機会を増やすことにこだわった。具体的には2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて経済3団体で組織した経済界協議会の参画企業の協力を仰ぐ。

NECが試作中の「空飛ぶクルマ」(写真:日本自動車工業会)

「FUTURE EXPO(フューチャー・エキスポ」と銘打ったエリアにはNTT、パナソニック、NEC、富士通といった異業種企業も出展し、「未来のモビリティ」にとどまらず、「未来の暮らし」や「未来の街」まで展示物の領域を広げる。

「未来のスポーツ観戦」では、競技会場で撮影した映像をリアルタイムに立体的に浮かび上がらせる技術を展示する。あたかもその場にいるような臨場感を体験できる。また、顔認証決済技術を用いた店舗も会場に設け、買い物の未来の形を提案する。NECが試作中の「空飛ぶ車」も展示の目玉だ。

東京オートサロンとの異例のコラボ

今年は東京オリパラに向けた準備で、青海にある東京ビッグサイトの展示エリアが制約されているため、お台場エリアにも会場を設ける。有明エリアと青海エリアのそれぞれの展示会場は1.5km離れているが、無料シャトルバスのほか、各社の次世代モビリティで移動することができる。1人乗りや2人乗りの超小型電気自動車(EV)、電動キックボードなどに試乗可能だ。

「未来の主役である子供たちに来てもらいたい」(豊田会長)と今年の東京モーターショーは高校生以下を無料とし、人気のある子供向け職業体験型施設「キッザニア」ともコラボレーションする。自動車メーカーや部品メーカーなどが整備士やデザイナー、エンジニアといった職業体験プログラムを提供する。

東京オートサロンとも初連携(写真:日本自動車工業会)

従来の東京モーターショーにはあまり関心を示さなかった層の取り込みも狙う。「東京オートサロン」との異例のコラボが実現し、カスタマイズカーも会場に展示される。東京オートサロンは近年入場者数を急速に伸ばしており、従来のコアな自動車ファンから一般の人まで楽しめるメジャーなイベントになりつつある。

いわば“ライバル”と組むことについて、自工会モーターショー特別委員会の長田准委員長(トヨタ自動車国内販売事業本部副本部長)は「東京オートサロンには出展者と来場者が一緒に作り上げる価値観があり、その姿勢を学びたい」と話す。

レーシングゲームを使ったスポーツ競技「eモータースポーツ」やドローンレースも開催するなど、とにかく「何でもあり」なのが今年の東京モーターショーだ。長田委員長は「新しい車を並べて見てもらうというモーターショー特有の様式美や純血主義にはこだわらない」と話す。

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