iDeCo加入の投資初心者がとるべき唯一の行動 「含み損」を抱えてしまったらどうする?

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2008年に起きたリーマンショックは、iDeCoを含む確定拠出年金という制度が日本で始まって6年目の出来事でした。当時は連日メディアで、「100年に一度の大暴落」と報じられ、マーケットに対する不安が蔓延していました。この時期すでに確定拠出年金制度に加入し、投資信託を通じて分散投資をしていた数百万人の方々の残高は大きく目減りし、ほとんどの方は元本割れの憂き目に遭っていました。

このときに、大きな下げに対して恐怖を感じ、投資信託を売却して、そのお金を預金に入れてしまい、今日までそのままになっている人はその後のマーケットの回復を享受することができず、現時点でもまだ元本を割っています。そういう方は確定拠出年金加入者720万人の2.6%、約19万人もいると推計されます。

ところが、そのときにとくに何もせず、そのまま積み立てをずっと続けた多くの方は現在大幅なプラスになっています。実際に、企業年金連合会の調査結果では確定拠出年金のうち企業で実施している企業型確定拠出年金の加入者の2017年度の利回りは平均で3%となっていました。

預金だけに投資している方も含んでの利回りですから投資信託のみで、代表的な資産である国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の4つに均等に分散している方などは、現状でも年利回り5%以上となっている方も多いと思われます。まさしくこれは、暴落時に投げ売りしなかったことに加えて、マーケットが回復するまでの数年間、安く購入し続けたことが功を奏しているといえます。

マーケット下落時は“何もせず”ゆったり構える

マーケットが下落しているということは、逆に言えば安く買うことができますから、通常の投資であればむしろ買い増しをしてもいいタイミングということなのです。しかしながら確定拠出年金では、それほど機動的に買い増しを行うことは困難です。だとすれば、下落した時に加入者が取るべきたった1つの行動、それは「何もしない」ということです。

もちろん下落することがわかっているのであれば、何もしないのではなく、その前に売ることが一番正しい方法でしょうが、それは現実にはほぼ不可能です。だとすれば、下がった時に怖くなって慌てて売ることだけは避けるべきでしょう。

とくにiDeCoに関しては、ブームに乗って利用を始めた方もいるでしょう。そんな方は、ニュースで流れる政治経済やマーケットの動きにも敏感になっているかもしれません。それは決して悪いことではありませんが、あまり敏感になりすぎて、価格の動きに一喜一憂するのではなく、“何もせずに”ゆったりと構えることのほうがよい結果を生むのではないでしょうか。

次回は、「投資信託」は「よくわからないけど、まずは金融機関のおすすめランキングにある商品で投資を始めてみた」……、そんな方のために、今確認しておいたほうがいいことをお伝えしたいと思います。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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