異常気象に企業も本気で対峙せねばならない訳 当たり前を再度根本から問い直す必要がある

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再生可能エネルギー比率を100%にする、材料や製造プロセスを低炭素デザインにする、再生可能材料にする、ウォーター・スチュワードシップ、イノベーションを通してより安全な化学物質へ切り替えるなどの項目が具体的に設けられ、報告書に実際に取り組んだ内容やその進捗が細かく記されています。

一方、「サプライヤー責任」に関しては、サイトに「アップルは、アップル製品を作る人たち、および私たちみんなが共有する地球のことを深く考えています」「より環境に優しい工場、より環境に優しいコミュニティ」と謳われています。コミュニティとは、製造やサプライチェーンを支えるコミュニティのこと。

報告書は「人々」「地球」および取り組みの進捗の3部構成になっていますが、アップルがサプライチェーンで働く人々を教育し、成長を支援し、サプライヤーと一緒に地球環境保護に取り組む状況が示されています。

アップルは、製品のデザイン・製造、サプライチェーンにおいて、社内外のコミュニティ全体で環境に対する責任を果たしているのです。

EVトラック10万台導入「The Climate Pledge」

アマゾンは、ハーバードビジネスレビューの2016年CEOランキングで、財務的なランキングでは1位であった一方、ESG(環境・社会・ガバナンス)では828位と極めて低い評価を受けました。これまでサステナビリティ関連の評価は低い企業と見られてきたのです。しかし、今や、アマゾンは環境問題をビジネスの中核として取り組む企業へ大転換しようとしています。

アマゾンのCEOジェフ・ベゾスは、9月19日朝一番、ツイッターで「Super excited about the Climate Pledge.」と自らつぶやきました。「Climate Pledge」とは、同日アマゾンが発表した、パリ協定の目標を10年前倒しで達成する取り組みである気候変動対策に関する誓約です。アマゾンは、その発表を通して地球環境保護への強固な姿勢を示したのです。

この誓約への署名企業は、パリ協定の目標の2050年よりも10年早い2040年までにCO2排出量実質ゼロを求められます。アマゾンは最初の署名企業ですが、2024年までに再生可能エネルギーの電力比率を80%、2030年までには100%にすること、EVトラック10万台の導入、森林再生プロジェクトへの1億ドル投資も発表しています。

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