12月15日に総選挙?与野党に広がる疑心暗鬼

改憲論議で国会運営の主導権を握る狙いか

そもそも主要野党には、臨時国会召集前から「首相が改憲の是非を争点に会期中に解散に打って出るのでは」との警戒感が広がっていた。改憲の前提となる国民投票法改正案をめぐる与野党対立で、衆参両院の憲法審査会の審議は難航している。

自民党は今国会で早期に改正案を成立させ、自民改憲案(イメージ)を軸にした本格的な改憲議論に入ることを目指しており、野党側は「改正案の成立さえ見通せない状況となれば、首相が解散に打って出る」(立憲民主幹部)と読む。

与党内の動きは今のところ鈍いが…

しかし、与党内では今のところ「解散・総選挙の可能性が高まっているという皮膚感覚はまったくない」(鈴木俊一・自民党総務会長)など年内選挙には否定的な見方が支配的だ。首相の女房役の菅義偉官房長官も、民放テレビ番組で「消費税率を引き上げた今は、経済をしっかり軌道に乗せていくことがものすごく大事だ」と年内選挙説を否定した。

首相発言が飛び出した会合についても、「国会運営の引き締めと、統一会派を組んだ主要野党へのブラフ(脅し)だ」(細田派幹部)と解説する向きが多い。

年内の政治環境をみても、菅氏が力説する増税対策だけでなく、来年1月1日発効が前提となる日米新貿易協定の承認が今国会の最優先案件となっている。新貿易協定について、主要野党は「一方的な譲歩で、国益を損じている」(国民民主幹部)として国会審議で厳しく追及する構えで、現状では解散日とされる11月20日までの決着は極めて困難だ。

これを踏まえ、解散・衆院選の日程をそれぞれ1週間遅らせる選択肢もあるが、12月下旬の投開票では来年度予算編成が越年も含めて大幅遅れとなることが避けられず、与党内に要望が強い台風被害対策のための早期補正予算編成にも支障が出る。さらに安倍首相は12月中下旬にはインド、24日前後には中国訪問を控えており、「12月22日投開票は実質的に困難」(政府筋)だ。

安倍首相は参院選前の5月30日の経済団体会合で、トランプ大統領との強風下のゴルフ対決に絡めて「風という言葉には今、永田町も敏感だが、1つだけ言えるのは、風というのは気まぐれで、コントロールできるものでない」と発言し、衆参ダブル選説を加速させたことがある。

与党内では「今回も野党をおびえさせて、改憲論議も含めて国会運営の主導権を握るのが首相の狙い」(自民長老)との見方が多く、半年前とは違って与党衆院議員による選挙準備の動きも鈍い。ただ、「選挙が好きで、大胆な勝負に出たがるのが首相の性格」(自民長老)とされるだけに、永田町に広がる疑心暗鬼は当面、消えそうもない。

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