地形でわかる、二子玉川駅付近が浸水した理由 橋脚が川の流れに影響を与える可能性もある

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なお1974年に小田急線橋梁付近で堤防が決壊した主原因は、流れの中に造られていた二ヶ領用水の取水せきだった。多摩川から水を取り込むために造られたコンクリート製の取水せきに、洪水時の激流がぶつかり、その流れは方向を変えて左岸(東京都狛江市側)の堤防をえぐった。

破堤した直後、このせきを取り除くため、発破をかけて砕けさせる対処を行った。周囲の住宅地にまで爆音が何度か響いた。なかなかせきは破壊できず激流の方向も変化がなく、近所の人は固唾をのんで見守ったという。

氾濫の可能性がある鉄道橋の場所

最後に、鉄道橋の地点が氾濫の危険性のある地を示しておきたい。

以前「内陸を走る総武線の『海抜』が京葉線より低い謎」(2019年9月26日)の記事でも触れた京成本線荒川橋梁(京成関屋―堀切菖蒲園間)の地点である。この橋梁は1931(昭和6)年竣工だが、その後一帯の地盤沈下で線路や堤防も沈み、川に対して線路や堤防が相対的に低くなってしまった。線路が堤防を横切る地点以外の堤防部分はかさ上げができたが、線路部分はかさ上げが難しく低いままである。線路部分の堤防はほかの部分より3.7m低い。このほか、京浜東北線・東北本線荒川橋梁(赤羽―川口間)も、地盤沈下のせいではないと思われるが線路部分の堤防が低く、今年春からこの部分のかさ上げ工事が一部始まっている。

京成本線荒川橋梁。線路が堤防を横切る部分だけ堤防が低い(2019年10月13日、筆者撮影)

台風通過の翌日に京成本線荒川橋梁を訪れてみたが、あと3mで越流(あくまで目測)にまで迫ったようだが持ちこたえた。現在、橋梁の架け替えに向けて用地買収が進められている。

二子玉川に非常によく似た地形の再開発中エリアがある。小田急電鉄が、小田急海老名駅とJR海老名駅に挟まれた地に建設中の地上31階建てタワーマンション3棟をはじめとするViNA GARDENS(2025年度竣工予定)である。2021年春には、隣接してロマンスカーミュージアムもオープン予定の注目の地だ。

ここの西側約1.5kmの所で相模川に中津川、小鮎川が合流していて、再開発地はその相模川沿いの平地に立地している。

平面的地図で見ると地形の特徴は似ているが、海老名駅の標高は相模川の河川敷より約7~8m高く、二子玉川の例より川からの高低差がかなり大きい。

自宅近くに川がある場合、距離だけでなく、高低差にとくに注意したい。国土地理院の「地理院地図」(電子国土Web)で確認することができる。

内田 宗治 フリーライター、地形散歩ライター

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うちだ むねはる / Muneharu Uchida

主な著書に、『地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係 東京周辺』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)、『関東大震災と鉄道』(新潮社)など多数。外国人の日本旅行、地震・津波・洪水と鉄道防災のジャンルでも活動中。

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