「NISSAN GT-R」に乗ってみた!! 2014年モデル、「量販車最速」の看板に偽りなし

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まず目を見張ったのは、コーナーでの機敏な動きだ。GRANDRIVEにはアップダウンを組み合わせ、山道を再現したようなS字カーブがある。そこをGT-Rで走ってみると、決してコンパクトとはいえず、むしろやや大きめのボディが驚くほどスムーズかつ、思い通りに向きを変えた。

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後ろから見たGT-R

普通のクルマなら曲がれない、アクセルが踏み込めないスピードでも難なくクリアしていく。足まわりのセッティングや独自の4輪駆動の特性も影響しているのか、ステアリングの動きに、リア(車体後部)がしっかりとついてくる。

コーナリング性能が高くないクルマだと、ステアリングの動きに対して、一拍ないし二拍のタイミングを置いてリアがついてくるので、それを測りながら車体をコントロールしていくのだが、GT-Rにはそんなだるさなどみじんもない。

コーナーを抜けて加速するときのエンジンレスポンスがまた鋭い。出足に重要なトルクが大きく、立ち上がりやすい特性になっているという話は聞いていたがそのとおりだ。そして高速コーナー。そこそこの角度のカーブを、結構なスピードで走っているのに安定感があり、あまり怖さを感じない。乗り心地は抜群にいいワケでもないが、決して悪くない。それなりの運転テクニックがあれば、誰でも速く走れるクルマだろう。

総合的に見て、スカイラインGT-Rよりも数段上のクルマだという印象を受けた。

海外スポーツカーより割安

GT-Rのすごさを感じたのはストレート加速だ。冒頭に書いたように決して長くはない区間で、あっという間にスピードリミッターが効く速度に達した。文章で書くとそれだけのことだが、どれぐらいすごいことなのか。たとえば、GT-Rの後で試乗したフェアレディZの改造モデル「フェアレディZ NISMO」と比べてみよう。

フェアレディZ NISMOには、最高出力377馬力のエンジンが積まれている。これでも一般人が乗るにはとてつもない性能だ。ただ、このZでGT-Rと同じコースで同様にアクセル全開にしてみたが、記者の腕では同じ区間で時速170km前後に持って行くのがやっとだった。比べることが間違っているかもしれないが、GT-Rは次元が違う。

記者は前述したように、フェラーリの量販車で最高峰モデルの「F12 ベルリネッタ」や、マクラーレン「12Cスパイダー」といった最高出力600馬力オーバー、車両本体価格3000万円超のスーパースポーツカーに乗った経験がある。これらのクルマと同じ条件で運転したワケではないが、GT-Rは間違いなくこれらの車と勝負できる。

GT-R2014年モデルの車両本体価格はベース車で905万1000~1011万1500円。NISMO仕様だと1501万5000円だ。海外スーパースポーツカーの半分以下の値段で、同等程度以上の性能を持った車を買える。これは、現行GT-Rを評する自動車ジャーナリストの間で語られ尽くされた話で、一介の経済記者が論じてみたところで何の新鮮味もないが、やっぱりそのとおりなのだと実感した。「量販車で最速」の看板に偽りはない。

トヨタ自動車は、レクサスのスーパーモデル「LFA」を2010~12年にかけて限定で販売していたが、現在は市販していない。現在、日本の自動車メーカーで海外のスーパースポーツカーと互角以上に戦えるモデルを市販しているのは日産のGT-Rだけだ。スーパースポーツカーは台数を稼ぐモデルではないが、ブランドをつくっていくうえでは大事な存在には違いない。そんなモデルをつくりあげ、時間をかけて熟成を重ねていく。トヨタ、ホンダと比べて収益面で差がついたと評される日産だが、この分野では間違いなく、日本の自動車業界をリードしていると感じる。

日本車メーカーでは今後、ホンダが「NSX」をツインターボエンジン、ハイブリッド仕様で2015年にも投入する計画だという。GT-RとNSX。日本のスーパースポーツカー頂上決戦が、今から楽しみだ。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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