郊外の「ポツンと新幹線駅」、集客をどう図るか 新青森の駅ナカは充実、だが駅前が寂しい

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情報源としてよりも、コミュニケーション・ツールとしての側面を強く意識し、持続可能な、協働の形・場づくりを事業の目的と位置付けた。そして「駅とその周辺の状況を改善していく」「駅について考える作業を通じて、市民同士が手を携える」、さらには「高校生と大学生が連携し、さらに世代を超えた連携の道を探る」といったそれぞれの営みをより合わせるモーターとしての姿を目指している。

現在は新青森駅をはじめ、青函フェリーのターミナルなどいくつかの施設で、配布に協力してもらっている。また、FacebookページやInstagramのアカウントも開設し、独自のコンテンツを投稿するなど、ネット展開の基礎もつくった。

上越妙高で「姉妹紙」

このような試みに、上越妙高駅前から反応があった。北信越地域資源研究所の平原代表取締役から「上越妙高で姉妹紙をつくれないか」と相談があったのだ。早速、7月中旬にセットした飯山駅視察に併せて、隣駅の上越妙高まで足を延ばし、創刊について相談した。同時に、平原氏が「フルサット駅前セミナー」をスタートさせ、約20人の参加者とともに、「駅のメディア化」の意義や課題について語り合った。

フルサットで開かれたセミナーの様子=2019年7月(筆者撮影)

セミナーの様子は地元2紙でも報じられ、一定の関心と反響を呼んだ。上越妙高の姉妹紙は、年内のパイロット版発行を目指し、準備が進んでいる。

一連の取り組みは、2019年9月に新潟大学で開かれた日本地理学会秋季学術大会でも発表した。まだ進行中の、しかもささやかな実践でしかないが、新潟県内にもかかわる話題だったからだ。発表に関する質問はあまりなかったが、それでも多くの人が「ぜひ参考にしたい」とニュースレターを希望し、持ち帰ってくれた。

ニュースレターは、新幹線駅の未来を切り開けるか……? 青森学術文化振興財団の助成は単年度である事情も手伝って、2020年度以降のニュースレターをどう発行するか、本稿の執筆時点では決めていない。ただ、形を変えても、何らかの方法で、何らかの営みは続けていきたいと考えている。

櫛引 素夫 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士

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くしびき もとお / Motoo Kushibiki

1962年青森市生まれ。東奥日報記者を経て2013年より現職。東北大学大学院理学研究科、弘前大学大学院地域社会研究科修了。整備新幹線をテーマに研究活動を行う。

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