各地に漂う停滞感をどこかで変え、駅とその周辺の在り方を、市民みんなで考え直す契機をつくれないか――。そう考えた筆者が行き着いた1つの方法が「ニュースレター」の発行だった。
新青森駅開業に合わせて、駅に近い青森県立青森西高等学校で2010年、ある活動が始まった。新幹線利用者らを歓迎する「おもてなし隊」をつくり、県内の7高校に呼びかけて、プロジェクトを立ち上げたのだ。
同校は青森県内でも有数の部活動が盛んな高校で、青森県高等学校体育連盟の事務局を担当する。快活なイメージは「おもてなし隊」のイメージにそのまま重なる。新青森駅から約700m西にあり、多くの生徒が通学に利用している。生徒たちにとって、活動は駅への恩返しの1つとも言えた。
その後、「おもてなし隊」は活動を重ね、高校を代表する活動の1つに成長した。活躍の場も、三内丸山遺跡、青森港を訪れたクルーズ船の歓迎、JR東日本と連携しての青森ねぶた祭の観光客歓迎――と広がっていった。華道部は週1回、新青森駅の生け花を交換し続け、今年で10年目になる。
目的は「協働の場」づくり
筆者が勤務する青森大学と青森西高校は2018年、「高大連携」に関する協定を結び、協働の糸口ができたことから、筆者は「ニュースレター」の創刊を思い立った。
幸い、同校と新青森駅の理解と協力を得られ、さらには青森学術文化振興財団の助成事業の対象となったため、2019年6月10日に第1号を発行することができた。その後、月1回のペースで刊行を続け、10月10日には第5号を発行した。
「地域・駅・新幹線ニュースレター」と銘打ったニュースレターは、大きく①インタビュー②おもてなし隊の活動③三内丸山遺跡・青森県立美術館の催し紹介④新青森駅周辺や青森駅に関する話題、から構成している。タイトルは「はっしん! 新青森」とした。「はっしん」は、鉄道現場でよく用いられる「発進」と「発信」をかけている。
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