新青森駅周辺はもともと畑と宅地が混在する、のどかな地方都市の郊外だった。約2km南には特別史跡・三内丸山遺跡がある。遺跡のすぐ南東側には2006年、青森県立美術館がオープンした。
いずれも青森県を代表する観光スポットだ。また、新青森駅と三内丸山遺跡の間には、板画家・棟方志功や世界的報道写真家・沢田教一が眠る三内霊園もある。大きく見ると、新青森エリアは意外に、観光面のポテンシャルを持つと言える。駅が遺跡の上に建っているなど、隠れた話題もあることがわかってきた。
このほか、駅ナカには、JR東日本の系列会社が運営する物産館「あおもり旬味館」があり、品揃えは、同じ会社が運営する青森駅前の商業施設「A-FACTORY」に見劣りしない。ただ、駅の東口から真っすぐ2階コンコースに上がる旅客や、奥羽線から新幹線に乗り継ぐ旅客の動線からは微妙に外れ、その存在に気付かない人もいる。
大学生「感動できるものがない」
筆者は弘前大学で非常勤の授業を担当し、今年初めて、学生たちを新青森駅にバスで連れ出した。彼らのほとんどは新青森駅を利用した経験があったが、それでも「こんな充実した駅ナカがあるとは知らなかった」という声が目立った。
駅の周辺を探索し、駅の隣接地域に建つ郊外型ショッピングセンターまで15分ほど歩けば着けることや、駅の敷地に隣り合って全国チェーンの家電店が立地していることを調べた学生もいた。
それでも、やはり学生たちの多くは「駅前に何かほしい」という感想を隠さなかった。「駅の周りに何もない訳ではない。感動できるものがない、というのが正しい」と記した学生もいた。ただ、その要因の1つは、駅と周辺のめぼしい情報が乏しいことではないか……。筆者にはそう感じられた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら