三セク「しなの鉄道」が黒字を出し続ける秘訣

新型車両を大量導入、今後は軽井沢再開発も

――もう1つのプロジェクト、「軽井沢事業」とは何でしょうか。

軽井沢駅は水戸岡鋭治氏に総合的なデザインを依頼して、レトロな旧駅舎を駅機能や駅ナカ店舗に活用したり、1・2番線ホームと旧1番線ホームの間をデッキでつないで「森の小リスキッズステーションin軽井沢」として、鉄道とも親しめる遊園地にしたりで、駅で楽しめる仕掛けを作った。さらに、JRから引き継いだ軽井沢から東側に広がる約2ヘクタールの細長い土地を活用しようというのが、軽井沢事業だ。

軽井沢駅では、長野新幹線開業前の1995年、駅南口に「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」が開業したこともあり、従来からの軽井沢の歴史・文化の魅力も相まって、今では840万人を超える観光客が訪れる現状を見ると、この遊休地にも大きなポテンシャルがあると考えられる。

そこで、軽井沢らしさの発信と新しい駅の魅力づくりをしながら、安定的な収益を確保できる施設を開発していきたい。当社にはそうしたノウハウが不足しているため、三菱地所株式会社をパートナー企業とし、2019年度から2年をかけて基本構想を策定しているところだ。まだどのようなものにするのかは固まっていないが、今後長期的な旅客外収益として大きなものを見込んでいる。2021年以降で早い時期の開業を目指していきたい。

地域と鉄道が共に活性化を

――ほかに注力すべきことはありますか。

しなの鉄道の主力車両115系の前に立つ春日社長(編集部撮影)

玉木前社長が積極的に推し進めていたことを引き継ぎ、沿線地域を応援して活性化することで、当社の利益にもつなげていきたい。例えば、長野県では「NAGANO WINE(長野ワイン)」を推進し、ブドウ栽培からワイン醸造、原産地呼称制度などバックアップしているが、沿線地域も「千曲川ワインバレー」として近年、ワイン生産をたいへん伸ばしている。9月21日にも「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー」が開業し、しなの鉄道でもバスとセットにした企画きっぷを発売した。

20年以上ワイン醸造に取り組み、多くの新しいワイナリーにも影響を及ぼしているエッセイストの玉村豊男氏も東御市で活動している。ワインを飲むと車の運転ができなくなるので鉄道との親和性があり、またインバウンドの関心も高い。

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