日本人のノーベル賞が「急減する」絶対的理由 日本は5年に1人、中国は受賞ラッシュに!?
ところが、「優れた論文」の数も日本は減らし続けています。「優れた論文」とは随分、主観的な表現に聞こえるかもしれませんが、ちゃんと客観的な指標があります。
自然科学の世界では、ほかの研究者の論文に引用される回数が多ければ多いほど優れた論文とみなされます。ほかの研究者の研究の役に立ったり影響を与えたりした証しだからです。引用数が上位10%に入る論文の数も、上位1%の数も日本は下げ続けています。
毎年、ノーベル賞の発表が近づくと、世界の各メディアはノーベル賞受賞者を予想します。当たるも八卦当たらぬも八卦です。が、自然科学部門では、論文数やその被引用数による予想がある程度当たっています。
2018年の本庶佑さんの生理学・医学賞受賞は多くのメディアが予想していました。つまり、研究者の論文数や被引用論文数の多寡とノーベル賞受賞には関連性があるということです。優秀な研究者の論文は多く引用される、あるいは被引用数の多い論文を発表した研究者が優秀と認められることを考えれば、当然のことです。
そこで、ある国の論文数や被引用論文数と、その国のノーベル賞受賞者数に相関が見られるのかどうか、ちょっと調べてみました。前提は、論文数や引用されることが多い論文の数は、その国の学術の活性や優位性の指標となるはずで、その象徴であるノーベル賞受賞とも相関しているのではないか、という仮説です。
ノーベル賞受賞の時期と、授賞理由となった研究の時期には大きなタイムラグがあります。受賞者すべてのタイムラグの平均はとても算出できませんでしたが、日本人受賞者の平均は25年です。
25年前の論文が重要
日本人受賞者の受賞年齢と、授賞理由となった研究を発表したときの年齢から簡単に計算できます。ほかのデータから全受賞者の平均タイムラグにも大きな違いはないと推察できます。
ある年の各国のノーベル賞受賞者数シェアと、その25年前の論文数や高被引用論文数に有意な関係が認められるかどうかを調べてみました。
といっても、ある1年だけを抽出するとノーベル賞受賞者がいない国も多いので、2001年から2010年と2011年から2018年の2つの期間を設定し、その期間の各国のノーベル賞受賞者の合計と、25年前の期間の論文数シェアと高被引用論文数シェアの平均値を比較してみました。
2001年から2010年の25年前は1976年から1985年、2011年から2018年の25年前は1986年から1993年です。残念なことに、1976年からの10年間の論文数シェアのデータのすべては古すぎて見つからなかったので、見つけられた一番古いデータの1981年から1985年の平均値で代用しました。
1976年から1985年の平均値ではありませんが、重なる時期もあり、シェアは数年では大きくは変動しないのでさほど大きな違いはないと思われます。
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