日本の外交戦略を斬る~国際刑事裁判所加盟が意味すること~
やっと日本も国際刑事裁判所(ICC)に加盟することが決まりました。
外務省は、2007年度予算概算要求において、ICCの分担金19億8千万円を要求し、次期通常国会でICC規程の承認と関連国内法の整備を行う方針を示しました。このテーマには、私も国家議員として関心を持って動いていましたが(たいしたことはできていませんが)、何人もの国会議員がICC加盟推進のため“党派を超えて”精力的に動きました。そしてまた、外務省の担当者の方々も、色々な政治家に対して説明して回るのは本当に大変だったと思います。
そもそも、ICCとは何か?
まず、ICCとは何か、ということを説明しましょう。そもそも、国際的には二つの国際裁判所があります。
一つ目は、国連の常設司法機関である、ICJ(International Court of Justice:国際司法裁判所)。この機関は1946年に設立され、「国家間の紛争」を裁判の対象としています。15人の判事から構成されており、日本人としては、雅子皇太子妃の父である小和田恆氏が名を連ねています。
もう一つが、常設国際裁判所である、ICC(International Criminal Court:国際刑事裁判所)。こちらは「個人の国際犯罪」を裁きます。1998年7月17日に国連外交会議において採択された国際刑事裁判所規程(ローマ規程、ICC規程)に基づき、オランダのハーグに設置されました。日本も今年、ようやく署名を決めました。
しばしば、これら2つの裁判所は混同されますが、国連の司法機関であり国家間の法律的紛争を扱うのがICJ(国際司法裁判所)であり、個人の国際犯罪を扱うのがICC(国際刑事裁判所)です。全く機能も組織の位置づけも異なります。
ICC規程は、1998年7月に採択され、2002年7月に発効しました。ICCは、国際社会が最も関心をもつ重大な犯罪である、(1)集団殺害(ジェノサイド)罪、(2)人道に対する罪、(3)戦争犯罪及び(4)侵略の罪の4つを裁判の対象とし、これらの罪を犯した個人を直接裁きます。つまり、テロや拉致問題もICCで裁くことができるのです。ICCには、裁判だけでなく捜査及び訴追を行う検察局も置かれます。自主的な判断で捜査を行う職権を持つという点で、この捜査機能が私は重要だと見ています(私は、拉致問題もICCの判断で捜査をしてもらうことができるのはないかと考えています。)