LayerXが体制刷新、「重い産業」をどう変える 福島CEOが語るブロックチェーン業界最前線
――具体的な案件についてはまだ発表できる段階ではないとのことですが、念頭にある開拓領域として金融、不動産、物流などを挙げています。
やはり最大のホットスポットは銀行、証券、保険業界で、どの会社もすでにブロックチェーンにかける投資が拡大している。直近では野村證券がブロックチェーン活用の有価証券取引基盤を開発するというニュースも出ているし、こういうたぐいの案件は海外では1年くらい前から当たり前になっている。
不動産や物流もブロックチェーンと相性がいいだろうと思うが、現状はまだ幻想というか、期待値だけが上がっている面はある。とはいえ、不動産なら登記情報を全部ブロックチェーンに乗せましょうみたいなことはまだ無理でも、不動産の証券化、流動化みたいな領域なら、金融事業に近くブロックチェーンでやりやすい。
僕らがツクルバと一緒にやっているプロジェクト(ブロックチェーンを活用した空間・サービス特化のマーケットプレイスを創造するもの)もそうだ。
物流も、サプライチェーンマネジメントを全部やろうというのは現時点で難しくても、モノの流れをしっかりトラッキングして、その情報を基にファイナンス(与信や融資)をする、みたいなところはもう進められるんじゃないかと。組めるパートナーは金融系の会社に限らない。
ぽっと出のベンチャーがやるには難しい
――既存の金融機関でなくても、金融機能を持てる可能性が広がると。
ブロックチェーンの真価はまさにそういうところにある。インターネットが出てきたことで、新聞社やテレビ局でなくてもメディア機能を持てるようになったのと似ている。金融は当然規制も厳しい領域なので、本当に「誰でも」とはいかない。でも、独自のデータやアセットを持っている会社が金融機関に近いサービス、あるいは金融機関と組んだサービスを提供する動きは、今後ブロックチェーン技術によって必ず加速する。
僕らとしては、そこで専門集団としてきちんと存在感を示して、かつ儲かる、サステイナブルな事業モデルを作るのが向こう数年間の最大テーマになる。これは 正直、ぽっと出のベンチャーがやるにはけっこう難しい領域だ。
従来のスタートアップは多少粗削りでも早くサービスを出して、利用者に使ってもらう中でどんどん修正をかけてよくしていくスタイルが主流だった。メディアやコマースならそれで問題ない。でも証券や決済、保険、ひいてはモビリティのような人の命にかかわるシステムを手掛けるとなれば、ミスったごめん!という文化では安心して取引してもらえない。
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