LayerXが体制刷新、「重い産業」をどう変える 福島CEOが語るブロックチェーン業界最前線

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もちろん、10年ぼーっとできるわけではない。収益がぐっと伸びてくるのは10年後になるとしても、競争自体はもう始まっている。ECの世界がそうだった。

福島良典(ふくしま・よしのり)/東京大学大学院工学系研究科卒。大学時代の専攻はコンピュータサイエンス、機械学習。2012年大学院在学中に株式会社Gunosyを創業、代表取締役に就任し、創業よりおよそ2年半で東証マザーズに上場。後に東証一部に市場変更。2018年にLayerXの代表取締役社長に就任(撮影:梅谷秀司)

アリババもアマゾンも、ウォルマートの流通総額に匹敵する規模になるのに20年かかったけど、「いずれ追い抜く」という未来は、20年前にもう決まっていたと思う。もっと言えば、あの時点で参入していた会社しか追い抜く権利を手にしていなかった。

ブロックチェーン革命も同じような道をたどるはず。金融のように、ネットが普及しても抜本的なデジタル化が進まず生産性の低かった「重たい産業」で、ついにインターネット的な革命を起こせる。

今いいプロダクトを作れば、ノウハウがたまり、データが集まり、ネットワーク効果が働いてさらに価値の高いプロダクトにできるサイクルが回る。逆に金融系のPoCが一巡した今、これらに絡めなかった会社はもうきつい。この差はバカにならない。

言うことを聞きすぎない

――10年後に勝っているために「今参入していること」が前提条件になると。そのうえで必要な素養はどういうものでしょう?

まずはいいプロダクトを作ることに尽きる。今より10倍コストが下がったり、10倍見込み顧客にアプローチできたり、10倍売り上げが上がったり、明確な価値を提供できること。それから10年先まで会社を継続するキャッシュフローを作って粘れるかもひとつ目安になる。バンと100億円単位の調達を行うのは簡単ではない。稼ぎ方を早めに確立する必要がある。

そういう意味では、複数利害関係者がいる中でレイヤーエックスとしてどう振る舞っていくかは重要になる。プロジェクト全体の経済合理性が合っていても、そこで出たベネフィットを全部プラットフォーマーに吸い取られるようなモデルではタダ働きになってしまう。ニーズは汲みとるが言うことを聞きすぎない、という立ち位置を確立していきたい。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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