LayerXが体制刷新、「重い産業」をどう変える 福島CEOが語るブロックチェーン業界最前線

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――このタイミングで大幅な経営体制拡充に至った経緯は?

ブロックチェーン領域、とくに僕らの狙う事業領域は長期戦になる。10年しっかり腰を据えてやれるメンバーが必要だ。今のレイヤーエックスへの印象としてよく言われるのは、若いとか、とがっているとか、技術に強い天才が集まっているとか。実際にそうだし、今後もとがったエンジニアリング力を武器にしていきたいが、同時に総合力もつけていかなければと思っている。

「他社のサービスが絡む中で、どう協調していくかがカギになる」と強調する福島CEO(撮影:梅谷秀司)

創業から1年、エンタープライズ領域にブロックチェーンを活用していこうという流れが王道化してきた中で、きちんと外部とビジネスアライアンスを組めるメンバーの重要性が高まってきた。重厚なシステムを作るためにはライトなウェブ開発よりずっと大きな費用もかかり、資金調達を含め財務戦略に長けたメンバーも欲しい。要は「大人な会社」になろうというのが、体制拡充の正直な意図だ。

今回加わった手嶋(非常勤取締役)も渡瀬(CFO)も、創業間もない会社を上場まで導いたシリアル経営者だ。このレベルの人たちが集まっているスタートアップって、僕の知る限りはメルカリ以来なんじゃないかと。経営経験の豊富な人たちと、若い天才エンジニアたちが共存して働いている。これはすごく理想的で、シリコンバレー的な組織だと思う。

「ただの実験」的な実証実験は減った

――ブロックチェーンというと、一般にはまだ活用イメージがつきにくい面もあります。実証実験について耳にすることは増えましたが、実際のところ、最前線はどのような動きになっているのでしょうか。

PR要素を含む「ただの実験」的な実証実験は、もうかなり減ってきている印象だ。少なくとも金融機関はどこも、商用化を前提とする”本気モード”。なぜなら、すでにあらゆるPoC(概念実証)が終わっていて、証券・決済業務でも貿易実務でも、コスト削減などの効果を明確に示すレポートがいくらでも出ている。「ブロックチェーンって結局何に使ったらいいのかわからないよね」みたいな話は、もう3周遅れくらいの議論だと思ったほうがいい。

「ブロックチェーンを使わない手はない」という共通認識はすでにある中で、むしろ難しいのはその次のフェーズ。例えば業界横断の取り組みにしたいけど複数プレーヤーに乗ってもらうためにどういう秘匿化要件を設けるかとか、永続できるビジネスモデルをどう作るかとか、実用化するにあたっての個別具体的な議論に入っているのが現状だ。この流れの中で、レイヤーエックスとしてもうまくポジション取りをしていきたい。

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