「グッとラック!」「とくダネ!」が抱える課題 TBSとフジの平日朝番組は競合とどう戦うか

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ここからはどんな年代がターゲットで、どんなライフスタイルの人を想定しているかはわかりづらい。“このまま”では「元気な志らく氏」を見るまでには時間がかかるのではないかと思った。

私はかつて日本テレビで「スッキリ」「ヒルナンデス!」を手掛けていた。拙著『勝つために9割捨てる仕事術』でも自分の体験を交えて述べているが、新番組が先行する番組に追いつき上回るには、視聴者のニーズを的確につかまなくてはならない。

帯番組のMCを引き受ける決断をした立川志らく氏の思いをTBSが結実させるためには、「誰に」「何を」見せるのか、何を伝えていくのかを追求しなければならないだろう。

「とくダネ!」は新メンバーが起爆剤となるか

一方でフジテレビの「とくダネ!」も、「スペシャルキャスター」という肩書でMC陣に日替わりで出演者を加えてきた。石黒賢(月曜)、カズレーザー(火曜)、古市憲寿(水曜、木曜)、鈴木啓太(金曜)という布陣である。

放送開始以来20年になる「とくダネ!」は、一時期視聴率で時間帯トップを誇っていた。

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「とくダネ!」はメインMCである小倉智昭氏(72歳)が不動の地位。この2年間で山崎夕貴アナ、伊藤利尋アナと“エース級”を投入した。内容面で他局に劣っているようには思えない。もともと定評のあったスタッフの取材力も健在のように見受けられる。

しかし、日テレ「スッキリ」に一時期トップの座を譲り、現在はテレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」に水をあけられている。

そこでスペシャルキャスターという新メンバーの投入によって番組に、これまでとは違う風を吹かせようという狙いだろう。ただ、カズレーザー氏の起用は面白い試みだと思うが、古市氏は以前からレギュラーコメンテーターを務めていたので見慣れた感はある。

この取り組みが奏功しなければ、この先、もっと根本的なところに手を入れなければならなくなる場面が出てくるかもしれない。

村上 和彦 TVプロデューサー、京都芸術大学客員教授

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むらかみ かずひこ / Kazuhiko Murakami

1965年生まれ、神奈川県出身。日本テレビ放送網に入社し、スポーツ局に所属。ジャイアンツ担当、野球中継、箱根駅伝などを担当する。その後制作局に移り、「スッキリ」「ヒルナンデス」「ブラックバラエティ」「24時間テレビ」など幅広いジャンルで実績を上げる。2014年、日本テレビを退社し、TVプロデュースの他、執筆、講演会など活動の場を広げている。現担当 : BSフジ「プライムオンラインTODAY」監修演出など。

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