インド拠点が禁輸、第一三共M&Aの蹉跌 約5000億円で買収したインド子会社で問題頻発

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2008年6月にランバクシーの買収で第一三共の庄田隆社長とシンCEOが会見を行ったが・・・(撮影:玉川陽平)

製薬大手である第一三共のインド子会社(ランバクシー社)が異常事態に陥っている。昨年9月、今年1月と2工場が米国食品医薬品局(FDA)から禁輸措置を受けた。結果、インドの4工場は最大の後発薬市場である米国に向けて製造ができなくなった。

「現在、品質管理問題でFDAからインド国内の2工場が対米輸出を禁止されているが、これが解決すればランバクシーは業績に大きく寄与できる」。2010年6月、社長就任が目前の中山讓治副社長は本誌の取材でこう述べていた。

しかし、追加の禁輸措置で事態はむしろ悪化。約5000億円を投じて傘下に入れたランバクシー社は、グループのお荷物になりつつある。

特に、今年1月のトアンサ工場への処分は痛い。08年の措置後も米国で売り上げが伸ばせたのは、トアンサ製の医薬原料を米国工場で製剤し販売してきたからだ。今後は他社の原料を使うことになる。

トアンサの禁輸が長引くと、ほかの製剤3工場の禁輸が解けても、すべて自前で米国向け製品を作れない可能性がある。08年に禁輸になった2工場について、ランバクシー社とFDAが11年に締結した同意協定書(改善計画)は5年計画だ。今回のトアンサ工場にも協定書の一部が適用される。

改善計画の進捗次第で、禁輸解除という可能性もあるが、楽観はできない。ランバクシー社の品質管理問題はかなり根が深いのだ。

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