「あらゆることから何かを学ぶ」東大生の頭の中 「自分の意見」をつくることはこんなに大切だ
僕の経験も踏まえて考えると、この2つの違いは、もともと知識を持っているかどうかよりも、「自分の意見を持っているかどうか」だといえると思います。
自分の意見というのは、その本の内容に対して「ここに関しては同意できるな」「この点に関しては自分の考えとは合わないな」と言えるだけの材料のことを差します。「そうそう」と感じるのは、「確かにそうだ、自分も同じことを思っていた」ということにほかならず、逆に言えば「自分も同じことを思っていた」と言えるだけの考えがある状態で読んでいる証拠なのです。
例えば、トランプ大統領に関する本を読むとします。トランプ大統領について何も考えず、何も調べていない状態で本を読んだら、本の内容を読んでも「なるほど」としか言えませんね。100%未知のことで、ただ受け入れるしかない。それでは、自分の頭で何かを考えているとは言えないわけです。
この「自分の頭では何も考えていない状態」というのは、何も学んでいないのと同義だと言ってもいいでしょう。
自分の中でまったく納得できていないことを人に説明したりすることはできませんよね? 人間は、自分の頭で何かを考えていないと、得た情報を利用することができないのです。
これは「情報と知識の差」だといってもいいでしょう。情報は、いくら得てもそれ自体には何の価値もなく、情報を活用して何かにつなげることはできません。しかしその情報をきちんと自分で咀嚼して、理解して納得すれば、それは知識となり、次に生かせるようになります。
自分の考えがないというのは、「新しい情報をただ得る」というスタンスでインプットしているということです。その情報や知識が正しいかどうかは考えず、「本に書いてあるんだから間違いないだろう!」と受け入れていることにほかなりません。言うなれば、思考停止に陥っているのです。
一方向的ではなく、双方向的に読む
だからこそ大切なのは、「自分の意見を持った状態」で情報を摂取していくことです。
「新しい情報を得る」のではなく、「今までの知識を再確認する」というスタンスの人は、ただ受け入れているだけではありません。自分の考えを持ったうえで、その考え方と本の意見がどう異なっているかを確認する読み方をしています。
トランプ大統領についての本を読むのなら、トランプ大統領に関することを調べ、自分なりの考えを持つ。「トランプ大統領はこういう点でいい大統領だと言えるが、こういう点ではあまりいい大統領だとは言えない」「日本にとってはこういう存在で、自分はこう考えている」と考えたうえで読むのです。
そうすれば、「ああ、確かにトランプ大統領のこういう行動は、この点で評価できるのか!」「そういう考え方もできるのか!」と、自分の考えと本の考えを比較しながら読むことができるようになります。
だからこそ東大生は、積極的に「質問」をする人が多いです。「これは自分の考えと合わないが、どうしてこうなんだろう?」と疑問を持ち、本の内容について教授や友だちに聞いて回るという学生も多いです。
本に対して、自分から意見や疑問をぶつけようとしてみる。一方向的に受け入れるのではなく、双方向的に、本と対話するように読むことを心がけているわけです。
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