安倍首相はトランプに「使われて」いないか 日米貿易協定は「ウィンウィン」という幻想

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日本の政府高官らは、トランプ大統領の“不確実性”をよく心得ている。「トランプ大統領が確実に機嫌よくいられるようにしたい」とニューヨーク在住の日本の高官は話す。「貿易交渉についての報道は、トランプ大統領の予測不可能な感情的反応につながることがないように、合意で得たもの(または避けたもの)を強調しない」。

首脳会談に先駆けて、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙などは、自動車関税問題に関してアメリカ側が明確に誓約することを拒否したため、この協議が行き詰まったと報じた。

ニューヨーク・タイムズ紙などは、日本側が「サンセット条項」、または、「スナップバック合意」と呼ばれる方法によってこの問題を回避しようと試みたと報道。これにより、アメリカが話を進めて、自動車関税を課した場合、農産物に対する関税免除は一時停止または撤廃される可能性がでることになるだろう。

トランプ大統領側は成果を強調

今回発表された声明やアメリカ側の資料からは、今後こうした自動車関税について議論される兆し、ましてや合意にたどり着く兆候はまったく感じられない。それなのに日本の政府関係者は、まだ議論を続けようとしている。

「232条が課された場合、われわれは本協定を終了させる」と、日本の交渉担当の1人は語る。だが、日本の貿易政策専門家に言わせると、そのような措置が日本の法律において合法かどうかは微妙だ。本協定が国会を通過した場合、簡単に差し止めたり無効にしたりすることはできるのだろうか。

一方、トランプ大統領がアメリカ国民に伝えたかったことは非常に明確だった。ホワイトハウスとアメリカ通商代表部は、日本から得ようとしていたすべての農業利権についてアメリカの記者団に詳細に伝えていた。

「この第一段階である最初の関税合意により、日本はさらに72億ドル分のアメリカの食料および農産物への関税を撤廃あるいは減税することになるだろう」と、通商代表部は報告書に明記している。「協定が実施されれば、日本が輸入する食料と農産物の90%以上が非関税になるか、特恵関税の権利を受けることになるだろう」と。

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