幼児が無料で座る、混雑時「自由席」のジレンマ 料金を払った大人が座れないこともある

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問題は混雑時だ。運賃も特急料金も払っている大人が座れないような状況でも幼児が無料で座れることがある。

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新幹線や在来特急の自由席で、混雑してくると、「空いている席に荷物を置かず、きっぷを持たないお子さまは膝の上にお願いします」というアナウンスが流れることがある。

しかし、車掌が席に座っている子どもの年齢が幼児に該当するかどうか確認しているケースはほとんどないように思われる。

そもそも自由席が鈴なりに混雑しているような状態では検札に来ないケースもある。結局のところ、乳児・幼児を膝の上に乗せて席を空けるかどうかは親のマナーに委ねられているのが現実のように思う。

グリーン車自由席のジレンマ

普通列車のグリーン車自由席の場合は、より顕著だ。グリーン自由席に座れない乗客には、「不使用証」が出され、所定の手続きを経てグリーン料金を払い戻してもらえる。とはいえ、ほとんどの乗客は座りたいからグリーン券を買うわけだし、返金手続きも面倒だ。

子育て世帯を支援する方策が必要なことは筆者も理解しているし、配慮も当然必要だと思うが、無賃の幼児2人を含む家族4人で席を向かい合せにしてゆっくりくつろいでいる脇で、高齢の乗客が立っている姿を見ると、いたたまれない気持ちになる。もう少し、譲り合い、助け合う社会であってほしいと願う。

細川 幸一 日本女子大学元教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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