日テレ「続きはHuluで」に大失望する視聴者心理 高視聴率、ビジネス成立でもブランドにリスク
日本テレビとHuluにしてみれば、「地上波のドラマは完結させた。Huluはあくまで別の物語」であり、「だから見なくても問題ないはずですが、見てもらえたらもっと楽しめますよ」というスタンスであり、ビジネスとしては成立しています。しかし、数カ月間思い入れを持ってドラマを見続けた視聴者の感情を翻弄していることに対して、日本テレビとHuluは鈍感なのかもしれません。
現在の視聴者、とりわけ若年層は、お金を払うものと払わないものをはっきり分けて自分で選び、逆に「選ぶかどうか迷わせる」ものに嫌悪感を覚える傾向があります。その点、日本テレビとHuluの戦略は、目先の地上波視聴率やHuluの有料会員数を取れても、長い目で見たらマイナスブランディングである可能性が高いでしょう。
ちなみに、地上波のドラマが最終話の後に映画化を発表したときも同様の批判が飛び交いますが、「続きはHuluで」ほどではないのは、映画が「2000円弱ものお金を払い、わざわざ足を運ぶ」という嗜好性の高いものだから。「スマホで課金すればすぐに見られる」Huluは視聴者にすれば悪魔のささやきのようであり、その手軽さがストレスにつながってしまうのです。
Hulu日本版が日本テレビグループの傘下に入ったときから「日本テレビとHuluの連携ありきのビジネス」であり、戦略を変えづらいところはあるのでしょう。しかし、「『日曜ドラマ』には何度もだまされているから、もう見ないと決めていたが、今回の『ボイス』で『土曜ドラマ』(土曜22時~)もそうしようと思った」という批判コメントが書かれ、多くの「いいね」がついている現状を甘く見ないほうがいいのではないでしょうか。
フジ月9は地上波「特別編」で称賛一色
日本テレビとHuluが批判を集めた一方、称賛の声を集めたのがフジテレビの月9ドラマ(月曜21時~)。23日の「監察医 朝顔」最終話終了直後、30日に「監察医 朝顔 特別編~夏の終わり、そして~」という2時間スペシャルドラマの放送が発表されたのです。
これを知った視聴者たちは、「他局だと有料アプリに誘導するものもあるから、地上波で放送してくれるフジテレビに感謝」「特別編も見たいし、その先の続編も見たいという気持ちにさせてくれる」などと喜びの声をあげていました。
視聴者にしてみれば、「楽しみにしていたドラマが終わってしまう……」というロスを覚悟していたところに、これまでの延長線上に思わぬ楽しみを追加してくれたフジテレビに「ありがとう」と言いたくなるのでしょう。
さらに見逃せないのは、フジテレビの月9ドラマが1クール前の「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」でも、最終話の翌週に2時間スペシャルドラマの「特別編」を放送して視聴者を喜ばせていたこと。最終話の終了直後に「続きは動画配信サービスや映画で」は「聞いていなかった。ずるい」という失望を与えがちですが、視聴者感情に寄り添った「続きは地上波で翌週に」はポジティブなサプライズになるのです。
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