JR北海道「2人の社長」が相次いで自殺した背景

改革提言ゆえに除名された組合員も「謎の死」

というのも、前述のとおり、約20年前から他労組との「平和共存否定」を組合の方針として掲げ、自らの組合員に対し、他労組との組合員との交流の一切を禁じているJR北海道労組からすれば、彼の発言は「組織の方針に背く」「組織破壊行為」にほかならなかったからである。

書記長の役職から降ろされた組合員はその後も、この偏狭なJR北海道労組を内部から改革すべく、彼を慕う若手組合員らと、密かに「勉強会」を続けていたが、2016年に、彼の主宰していた「勉強会」の存在が組合側に発覚した。

JR北海道労組が下した処罰

JR北海道労組は再び彼が、「組織破壊行為に及んだ」とみなし、同年6月に開かれた同組合の定期大会で、この組合員への「制裁」の可否を検討する「統制委員会」を設置。「1年間に及ぶ調査・審議」で、この組合員を「組織破壊者」と断定し、翌2017年6月の定期大会で、「満場一致」でこの組合員に「除名」処分を下したのだ。「除名」は、組合からの永久追放を意味する。

さらに、この組合員はその後、JR北海道から、JR北海道労組の意を”忖度”したかのような、入社以来約20年で一度も経験したことのない、「畑違いの部署」への転勤を命じられ、組合だけでなく、会社にも絶望。翌2018年1月に、釧路港の埠頭で彼の遺体が打ち上げられているのが発見される。

今回、上梓した『トラジャ JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』では、中島社長の自殺の真相に迫るだけでなく、「2人の社長の自殺」の経緯と、1人の組合員の短い半生を通じて、今なおJR北海道社員の8割が加入する、この異常な労組と、いまだ、その呪縛から逃れられないJR北海道経営陣の姿を描いた。

ところが、本書の校了後、くしくも国交省がJR北海道の運賃値上げを認可した9月5日、またしても「JR北海道社員が自殺」の報が入ったのだ。中島社長の自殺から8年後の、この社員の自殺については、次回で詳報する。

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