JR北海道「2人の社長」が相次いで自殺した背景 改革提言ゆえに除名された組合員も「謎の死」

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政府は、JR北海道の新しい会長に、JR東日本の元常務だった須田征男氏(2018年に退任。後任には同じく元JR東日本出身の白川保友氏が就いた)を招請。社長には、中島社長時代の総務部長で、中島社長の自殺後、更迭され、グループ会社「JR北海道ホテルズ」の社長に転出していた島田修氏(現社長)を呼び戻した。

島田氏は総務部長時代、それまでのJR北海道労組と癒着したJR北海道の「歪な労政」の改革を目指していた中島社長の命を受け、JR北海道労組に対し厳しい姿勢で臨んでいた。このため、中島社長の死後に復活した「歪な労使関係」によって、子会社に転出させられるという憂き目にあうのだが、その島田氏の社長復帰は、政府がJR北海道の労政改革と体質改善を期した人事だった。

そして、これを機に、JR北海道は生まれ変わった。はずだった……。

改革提言を「組織破壊行為」と断定し「除名」

JR北海道は2014年度以降、毎年300億円を超える営業損失を出し続け、2016年11月には、全路線の約半分にあたる10路線13区間、計約1237キロを「当社単独では維持することが困難な線区」と発表。同社が深刻な経営危機に瀕していることが改めて明らかになった。

これ以降、JR北海道の経営問題はさまざまなメディアで報じられるようになったのだが、2017年度の赤字は、過去最悪の416億円に達し、同社は政府に、「2020年度には資金ショートに陥る」として、2030年度までの長期支援を求めた。

これを受け、国交省は2018年7月に、2019、2020年度の約2年間で、計約400億円を支援する方針を決定した。だが、それと同時に、JR北海道に対し2度目となる、JR会社法に基づく「監督命令」を出し、「2031年度の経営自立」という目標達成に向け、2019、2020年度を「第1期集中改革期間」と位置づけ、目に見える成果を上げるよう要請した。

だが、その後も同社の赤字体質は改善せず、2018年度の営業損失は、台風や地震などの影響もあって過去最悪を更新し、418億円にのぼった。

このためJR北海道は「経営改善」を理由に2019年5月、同年10月の消費税率引き上げに合わせ、国交省に運賃・料金変更(運賃値上げ)の認可を申請。国交省は同年9月5日、10月1日からの運賃値上げを認可した。消費増税の転嫁分も含め、平均11.1%の値上げで、初乗り運賃は30円増額の200円に引き上がるという。

ところがこの間、同社の経営危機の「当事者」であるはずの、JR北海道社員の8割が加入するJR北海道労組では、たった1人の組合員(41歳)の「組織破壊行為」を、まさに組織を挙げて追及していたのである。

この組合員はかつて、JR北海道労組中央本部青年部の事務長などを務めた「組合の次世代を担う優秀な活動家」(JR北海道労組関係者)だったが、レール異常の放置など、JR北海道で事故や不祥事が相次いでいた最中の2013年10月、組合の中で「今はまさに会社存亡の危機。こういうときこそ組合の垣根を取り払って(他労組とも)話し合いをすべき」と発言したという。

当時のJR北海道がおかれた危機的状況からみて、彼の発言は至極真っ当なものだったが、この発言はJR北海道労組内部で問題視され、彼は当時、就いていたJR北海道労組札幌地方本部札幌運転所分会の書記長から降ろされたのだ。

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