auとソフトバンク「新販売手法」の手痛い代償 新ルールの盲点突く顧客囲い込みが逆効果
両社は表向きには「他社の利用者にも使ってもらえる」と説明する。だが、この新販売手法は裏があり、実際には通信契約を結んでいないと大幅値引きの恩恵を受けづらいように設計されている。対象となるすべてのスマホには、最初の100日間は販売したキャリアと通信契約を結んでいなければ使えない「SIMロック」をかけているのだ。
つまり、大幅値引きを受けられ、かつ購入日からすぐに使えるのは、その端末を販売するキャリアと通信契約を結ぶユーザーだけ。他社と通信契約を結ぶユーザーは100日間も待ってSIMロックを解除してもらわなければ、端末を使えないようになっている。これでは実質的に、端末の大幅値引きと通信契約をひも付けているのも同然だ。
SIMロックの悪用防止に総務省が動く
両社の手法は新規制の盲点で、法律や省令自体には直接は抵触しない。そのため、9月12日の発表会でKDDIの東海林崇専務は、「今の決まりなら法令違反ではないし、むしろ、ルールにのっとった形だと思っている」と主張した。

こうした両社の姿勢について、総務省有識者会議の委員で、通信業界に詳しい野村総合研究所パートナーの北俊一氏は、「ルールの趣旨に明らかに反している。そもそも通信契約の囲い込みにつなげる意図がなければ、端末代金の一括払いより分割払いを安くする理由はないはずだ」と指摘する。
総務省が100日間のSIMロックをかけることを認めているのは、「利用者が端末を分割払いで購入した場合に、支払いを踏み倒して端末を持ち逃げすることを防ぐ」ためで、利用者の囲い込みを容認しているわけではない。100日間は、事業者側が「分割の初回の支払いを確認するのに必要な期間」として要望したものだ。
そのため、総務省は近くルールを改正し、100日間のSIMロックを囲い込みに利用できないようにする方針だ。具体的には、利用者が端末の購入時に初回の支払いにあたる頭金などを支払うことを希望した場合に、携帯電話事業者にはSIMロックを即時解除することを義務づける案などを検討している。
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