米中貿易戦争とアメリカの景気をどう読むか バンカメメリルのイーサン・ハリス氏に聞く
――世界的に製造業の景況感は悪化しています。ドイツの4~6月期がマイナス成長に陥り、欧州は景気後退リスクが高まっています。アメリカの景気の現状はどのようなステージにありますか。
アメリカでも製造業は景気後退に陥っているといえる。企業のマインドはすでに弱気でこれが設備投資にも波及している。
ただ、サービス業や労働市場の指標はまだ良好だ。貿易戦争の影響を直接的に受けていないためだ。だが、非製造業の指標も軟化してくれば、景気後退のリスクが高まる。消費者の眼から見れば、米国経済はまだ堅調だ。だから、消費財への関税がどうなるのか、それに消費者がどう反応するのかを注視している。
――賃金の伸びと関税の影響とを比較するとどうでしょうか。
アメリカの賃金上昇率は年0.3~0.4%であり、関税が消費財の価格を押し上げる影響も0.3%ぐらい。1年分の賃金上昇の効果が相殺されてしまう。重要なのはそれによって消費者の信頼感が失われてしまうかどうかで、関税そのものよりも、そちらに関心を持っている。
景気後退のリスクは来年よりも2021年に高まる
――アメリカが景気後退に陥る可能性とタイミングをどうみていますか。FRB(連邦準備制度理事会)の政策余地もそう大きいわけではありません。
現在、景気は明らかに減速している。アメリカ経済の今年の4~6月期の成長率は年率2%、7~9月期もおよそ2%で10~12月期には1.3%程度になり、来年の1~3月期も減速するとみている。しかし、来年、景気後退に陥るとは思っていない。弱くなっていくデータを見て、FRBが金融緩和を行って下支えに貢献するだろう。
FRBは今後の6カ月で0.75%ポイントの利下げを行って、1.3%までFFレートは下がってくる。そうすると切り下げ余地の半分を使い切り、ECB(欧州中央銀行)や日本銀行にかなり近い手詰まり感が出てくる。ここで景気に悪い材料が出ることを懸念している。
景気後退に見舞われるリスクは2021年のほうが高まるとみている。2021年には利下げという手段を使い果たしており、選挙も終わっていて再び貿易戦争が激化する可能性があるからだ。
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