ニコン、一眼レフカメラの戦略転換を宣言 市場の多様化に合せてラインアップを拡充

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たとえば、一眼レフの普及率が高くなってきている先進国では、買いかえ需要を喚起するためにスポーツ、風景写真といった用途別にデザインや機能を特化させるなど、これまでとは違ったコンセプトの製品の投入を検討している。また、新興国向けにはコストパフォーマンスのいい低価格モデルや、スマホとの連携を強めたモデルなどを開発していくという。

このような戦略転換の嚆矢といえるのが、ニコンが昨年11月末に発売した「Df」だ。ニコンが誇る往年のフィルムカメラの銘機「F」や「FM」シリーズを彷彿とさせるクラシックな外観を採用したこの新製品。「一眼レフの通常の製品ラインナップからは少し外れた製品。開発段階では社内でも賛否両論あった」(開発に携わった後藤哲朗フェロー)という趣味層向けの「Df」だが、売れ行きは先進国を中心に好調だという。

セグメントごとに製品展開

こうした消費者ニーズの多様化に対応し、セグメントごとに特化した製品を展開していくというのが、ニコンのレンズ交換式の中長期的な戦略だ。

もちろん、報道やスタジオ等で多くのプロカメラマンが使用する最上位機種の「D4」や「D800」など、「王道の一眼レフもこれまで通り性能の進化を続けていく」(岡本恭幸映像カンパニープレジデント)。一眼レフで世界シェア4割を占めるニコンの大胆な戦略転換は、市場の急変で岐路に立つデジカメ産業の現状を物語っている。

ただ地域ごとに品揃えを変えれば、サプライチェーンの管理は複雑になる。製品の種類が増えれば金型の数も多くなり、おのずと製造費用がかさむ。利益率低下を防ぎつつ、この戦略転換を成し遂げられるかどうかが今後の焦点といえるだろう。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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