新人の指導は、悩まず「10秒」で十分な理由 「元ソフトバンク」人材育成の「匠」の質問術

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「忙しくて教える時間がない」「でも、早く自分で考えて行動できる部下に成長してほしい」という悩み、どう解決したらよいのでしょうか(写真:kou/PIXTA)
「新人を早く育てたい」「でも手取り足取り教えている時間はない」というジレンマは、多くのビジネスリーダーが抱える悩みだ。若手社員が入社数年で退職・転職し、人手不足やタレントの奪い合いが常態化しはじめている昨今、新人教育の悩みは企業にとってこれまで以上に深くなりつつある。ソフトバンクで2万人の社員教育に関わり、『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)を上梓した人材育成のプロが、その処方箋を提示する。

育成よりも、短期的な成果の創出に直面する指導者

私は、ソフトバンクに約10年在籍していた際、新入社員(以下、新人)の育成や新人を育てるエルダー(メンター)育成に深く関わってきました。その後、独立起業し、さまざまな業種の企業で、新人研修やOJTトレーナー研修の実施を通じて、2万人を超える新人やその指導者と接してきました。

『10秒で新人を伸ばす質問術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)※本書の出版を記念し、トークイベントが行われます。詳しくはこちら

これらの経験を通じてわかったことがあります。まず、新人視点で申しますと、新人は、自身が2年目になると、急に“もう2年目なのだから”と先輩に見放され、一人で業務を進めることに大きな不安を感じることが多いことです。1年目の新人のうちに、自分の頭で考えて行動するように促されることが少なかったことがうかがえます。

一方で、新人を育てる指導者視点で申しますと、彼らは大きく2つのモヤモヤを感じています。1つ目のモヤモヤは、「忙しすぎて、教える暇なんてない!! 」という気持ちです。指導者の皆さんは、“育成しなくては!”と頭ではわかっているものの、忙しいうえに、求められる自身の成果目標も高く、正直、目の前の業務に必死で育成どころではない状況が多いのです。

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