SFCG破綻の深層、不動産担保ローンが致命傷に

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 不動産不況の直撃で担保物件は流動性を喪失し、その価値が大幅に低下した。一時は2000億円弱という規模に達した証券化をめぐって、その組成に関与した金融機関などから担保評価の引き下げを迫られ、一連の過程では証券化の財務制限条項にも抵触したとされる。資産の買い戻しまで余儀なくされ、資金繰り悪化が深刻化したというのが倒産劇の背景にある。

大島健伸会長は破綻直前のタイミングで代表権を返上。民事再生手続きが順調に進めば辞任する意向も明らかにしている。一方、SFCG傘下で大島会長の子息が社長を務めるMAGねっと(ジャスダック上場)は、破綻を受けて担保権を即座に実行し、SFCGが保有していたMAGねっと株を手元に戻して資本関係を解消した。その手際のよさに対し、突然の倒産を聞かされ、貸倒損失を被る可能性がある大口債権者の間では、不快感をあらわにする向きが少なくない。

SFCGが策定した「今後の事業計画の概要」では「商工ローン事業及び不動産担保貸付事業について、スポンサーを選定し、当該スポンサーに対して事業譲渡または会社分割の方法によって事業を承継させることを検討している」。しかし、それまでの間に、同社からの借り入れに依存してきた中小零細企業の連鎖的な倒産で不良債権が増えることも考えられる。金融機関など債権者との交渉が荒れる可能性も否定できず、今後の成り行きは不透明だ。

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(浪川 攻 =週刊東洋経済)

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