「1台1億円」乗り鉄も興奮する鉄道の大きな魅力 雄大な大自然を満喫できる「トロリーバス」

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早川さんによると、トロリーバスは1台、1億円するという。内訳は本体が6000万円で、備品が4000万円。美女平と室堂を結ぶ立山高原バスの4000万円という金額と比較し、貴重な乗り物であることがわかった。だからこそ、整備は入念である。

「4日、1カ月、1年、3年と定期的に点検するほか、運転士から異音や不具合などの情報が入れば、すぐに対応します。『大事に至る前に修理する』という危機感を持っており、高い電圧の電気を扱っているので安全にも気をつけています。これから先も15年、20年と使い続けられるようにせねばなりません」

丁寧に整備する理由がわかった。車体には傷一つなく、車体の下の見えにくい部分でもほこりは付いていなかった。バックヤードツアーを通じ、立山トンネルトロリーバスに対する社員の責任と愛着を感じ取ることができた。

運転士に必要な資格とは

車内に移動し、運転席に座ってVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルを着用、運転士の目線を体験した。2分間の映像は、実際に運転士の頭部にカメラを載せて撮影した映像を編集したとのこと。「運転士になった気分」をリアルに体験できる。ところで、運転士にはどうやったらなれるのだろうか?

「立山黒部貫光に運転士の資格を持つ社員は18人おり、そのうち2人は女性です。18人のうち5人は、整備士も兼ねています。必要な資格は『大型二種免許』と『動力車操縦者運転免許』。社内の研修を経て先輩の指導を受けながら独り立ちしていきます」

「鉄道という扱いでありながらバス」というトロリーバスの特殊な位置づけが、取得すべき免許から理解できる。早川さんによると「運転で難しいのは、すれ違うとき」とのこと。幅約6.5メートルのトンネル内で、最多では4台が連なったバスが行き交う場合に、ミラーがぶつからないかと慎重になるそうである。

また、「雷が鳴っていると停電しないか心配になる」と話した。確かに停電は怖そうだ。架線からの電力供給、信号、電気ブレーキなどすべてが機能しなくなる。ヘッドライトを頼りに、バッテリーのみで走行し、止まるときはエアブレーキ。トロリーバスの運転士の腕が試されることになるのだろう。

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