コカ・コーラBJH、「619億円減損」の根本理由

自販機事業が落ち込み、予期せぬ水害被害も

同社は8月、今上半期実績と同時に新しい中期経営計画を発表した。2017年に公表した従来の中期経営計画(日本基準ベース)では、2020年12月期に営業利益650億円、営業利益率6%を目指していた。

しかし、この計画は大幅未達になる可能性が高まったため、2019年12月期に事業利益154億円、事業利益率1.7%という目標に下方修正した(IFRSベース)。この中期計画の大幅な後退が、減損発生の要因となった。

中期経営計画を下方修正した理由は大きく2つある。1つは、コカ・コーラの利益柱である自動販売機事業で、競争が激化していることだ。ライバルのサントリーなどと違い、外資系企業の日本事業であるコカ・コーラBJHは海外に市場を広げられない。国内が唯一の市場で、その市場変化の波を大きく受ける。業界関係者は「当初の市場見通しが甘かった。自販機の厳しい事業環境を読み違えていたのではないか」と指摘する。

年々厳しさを増す自販機チャネル

自販機事業はコカ・コーラBJHに限らず、飲料会社にとって大事な収益源だ。値引きが常態化する小売店と違い、定価で売ることができる数少ない販売チャネルだからだ。コカ・コーラBJHは全販売数量のうち、25%を自販機で売っている。

しかし、ここ数年、顧客は安い飲料品を購入できるスーパーなどに流れる傾向にある。飲料製品の国内販売数量は、全販売ルート合計では2008年の17億4000万ケースが2018年に19億4000万ケースへ11.5%伸びたのに対し、自販機による販売数量は同6億0800万ケースから5億2000万ケースへ14.5%も減少した。自販機を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、同業他社は「ダウントレンドに打ち手がない」と嘆く。

自販機シェア1位だが、販売数量の落ち込みが著しい(記者撮影)

自販機シェア1位のコカ・コーラブランドは中でも販売数量の落ち込みが著しく、自販機での売り上げで2008年の2億4000万ケースから2018年1億8000万ケースと27%も数量を落とした。中でも好採算の缶コーヒーが、コンビニコーヒーやペットボトルコーヒーの台頭で打撃を受けている。

中期目標を見直したもう1つの理由は、予期せぬ生産能力の低下だ。経営統合翌年の2018年夏に西日本豪雨が発生。この水害でコカ・コーラBJHは広島工場と、それに隣接する物流拠点が機能不全になった。工場が止まったことで供給が逼迫。小売店などの棚から商品が消える事態が起きた。

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