中国FCV市場で日本企業が勝ち残る「3つの条件」

2019年は中国のFCV元年、トヨタも提携拡大

エンジン車並みの航続距離を有し、水素燃料の充填時間も短いFCVは、長距離走行性能の向上を課題とするEV商用車を補完できる駆動システムとして期待されている。走行ルートが決まったFCV商用車が一定台数で運営されれば、水素ステーションの採算も取れる見込みだ。中国ではFCVが2016年からバスや物流車(トラック)など商用車分野に導入され始めた。

しかし、関連政策や規制が不透明である中、水素ステーションの整備・運営コスト高は、FCV普及の現時点でのネックである。2018年末時点、中国には、FCVの保有台数が2749台、水素ステーションが25カ所にとどまり、FCV 販売台数は年間1527 台(2018年)に過ぎない。このままいくと、中国政府が掲げたFCVの普及目標には達成し難しい。

前中国科学技術大臣、「中国のEVシフトの父」と呼ばれる万鋼氏は、「人民日報」(共産党機関紙)で「2035年に向けて中国はFCV産業の育成を加速すべきだ」と強調し、EV一辺倒の政策転換を呼びかけている。今年7月2月、工業情報省の辛国斌次官が「NEV産業発展計画(2021-2035年)」の策定に向けて電気自動車(EV)に限らず、燃料電池車(FCV)を含む多様な技術路線を推進する方針を示した。

地場自動車大手と提携するトヨタ

トヨタは江蘇省常熟市の研究開発拠点に水素ステーションを設け、2017年10月からFCV「MIRAI(ミライ)」の実証実験を開始した。中国の李克強総理が昨年5月、北海道苫小牧市にあるトヨタ工場を視察し、トヨタのFCV技術を高く評価した。今年3月には、李総理が「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」で、トヨタの内山田会長にFCV分野で日本との協力を強化する意向を示した。

その後、トヨタは北汽福田汽車、中国一汽、金竜聯合汽車向けにFCV部品を供給すると発表し、地場自動車大手との提携を広げた。中国のFCV市場で日本企業の事業拡大を期待させるものではあるが、そこには期待と同時に3つの条件が浮かび上がる。

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