『あまりに古い社風に不満です』(27歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
終身雇用の崩壊、成果主義の導入などにより、日本人の「働き方」は激変。その結果、自身のキャリアに迷えるビジネスパーソンは増えていくばかりだ。これまでの古い「昭和的価値観」から抜けだし、新たな「平成的価値観」を身に付けるためにどうすればいいのか。日本の人事制度を知り尽くした城繁幸氏が、あなたの悩みにお答えします。
CASE:12
『あまりに古い社風に不満です』(27歳男性)
<相談者の悩み>
こんにちは。某大手出版社勤務の20代書籍編集者です。
一応、業界では大手の部類に入る会社ではありますが、社風はありえないくらいの古さです。賃金体系は完全年功序列、ある段階から管理職になるというキャリアパスしかありません。20代は忙しい割に給料が安く、50代以上はほとんど仕事らしい仕事はせずに、健康のために毎朝会社に来ているような人でも倍の給料をもらっています。
と、まあここまでならよくありがちな話かもしれませんが、わが社の場合、なにより驚いたのは「成果がまったく報酬に反映されない」という点です。実は今年、当社としては珍しいベストセラーを担当しまして、会社の売上げに何億円と貢献いたしました。
が、その報奨は、金一封の数万円だけ。月々の給料は、年齢給が大半を占めるため、最高の評価を得ても、数千円しか変わらない。ボーナスにいたっては組合員全員が同じ掛け率で査定自体が存在しないため、成果を上げても上げなくてもまったくと言っていいほど給付額は変わりません。他の企業に勤める知人の間でも、ここまで極端なケースはちょっと聞いたことがありません。
そこで質問なのですが、私は今の会社では、やはり「働き損」なのでしょうか?別にお金をたくさん稼ぎたいわけでもないのですが、頑張っても頑張らなくても給料がほとんど変わらず、うだつの上がらない上司がわんさかいて、彼らを養うために働き、彼らに搾取されているのだとすれば、なんだか面白くありません。
書籍編集というのは、一人で業務のほとんどすべてを担当するため、成果(あるいは能力)が、個々人によって数字(売上げ)という明確な形で表れる仕事です。にもかかわらず、ボーナスに査定がなく、給料にも成果と能力がほとんど反映されない現状には、正直、疑問を感じます。赤字を垂れ流し、会社の利益にも名誉にも何も貢献していない編集者でも、同年代なら同額の、年上なら倍の給料をもらっているというシステムについても、納得いきません。
編集者として基本的に仕事は一任され、仕事内容にはたいへん満足しているだけに、報酬面でのギャップが非常に残念であり、気になるところです。