『あまりに古い社風に不満です』(27歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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処方箋:『隣の芝もまったく同じ』

 では、報酬をとりっぱぐれないために、あなたはどうすべきでしょうか。「報酬はタイムリーにキャッシュで支払う」という成果型の賃金制度を採用している他社に転職すべきでしょうか?実は、この点では、あまり選択の余地はありません。

 というのも、出版業界と言うのは、はっきりいって「どこも似たり寄ったり」という状況だからです。他社に転職したところで状況は変わらないでしょう。

 ただ、業界全体がこれほど古いのは、先に述べたように、それだけ年功序列のレールが安定しているためでもあります。実際、リストラや「過去の成果の踏み倒し」といった状況は、少なくとも大きくは聞こえてきません。あなたが将来、人並以上の出世という形で、20代の頃に積み重ねた成果に対する報酬を受け取れる可能性は、他業種などよりはずっと高いはずです。

 もちろん、20年以上先の話なんて、誰にも保証はできません。そういう意味で、やはり年功序列はリスクのあるシステムであることは間違いないでしょう。もうこれは日本人の宿命みたいなものですね。万が一、19年後に会社が潰れたりしても、事故にあったようなものだと思って観念してください。

 ところで、文面から察するに、あなたは現在の仕事内容自体には、充分満足されている様子です。となると、今後問題となるのは、むしろキャリアパスの点でしょう。あなたは順調に行けば、40歳ごろにはマネージャーに昇格し、第一線から離れることになるはずです。

 これも年功序列の宿命ですね。こういった組織には、プレイヤーとして生きる道はないのです。「ずっと現場にいたい」と言えばそうなるかもしれませんが、それは過去の報酬を辞退するという意味でもあるわけです。

 そこで、あなたにできることは一つ。それは「プレイヤーのまま、適正な報酬を得られるシステム」を、労組なり経営者なりにアピールしていくことです。マネージャーとプレイヤー、二つのキャリアパスの分化ですね。会社とはきっと長い付き合いになるでしょうから、まあ気長に取り組んでください。

 最後に一つ。「仕事の満足度」というものは、大きく二つの種類に分けられると思います。金銭などのインセンティブに依存するものと、仕事自体のやりがいからくるものです。実際には、そのどちらにせよ、満足に得られる人などそうはいないものです(両方得られる人など、100万人に1人でしょう)。

 そういう意味では、充実感を持って仕事に臨めるということは、たいへん恵まれていることだと思います。言葉を代えれば、“仕事の充実感”こそ、何よりの報酬なのかもしれません。

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