『あまりに古い社風に不満です』(27歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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<城繁幸氏の診断>

診断:『20代の定期預金は返ってくるか』

 以前も書きましたが、年功序列が比較的堅持されている業界として、出版、テレビ、新聞等のメディアが挙げられます。これは「ビジネスモデルが変わらない」「規制で保護されている」などの理由で、レールが比較的安定しているためですね。たとえば、新聞なんて、「広告とって記事を書く」というビジネスモデルは、明治以来変わっていません。出版社にしても、海の向こうから本が大量に輸出されてくるなんて、ありえないことです(たまにハリーポッターみたいなのもやってきますが)。

 当然、こういう組織の中で、若者は安い賃金でこき使われる傾向にあります。

 ただし、将来的にもずっと“こき使われる”というわけでもありません。いずれは出世し、序列も賃金もアップしていくはずです。では、あなたが将来、今の成果に対する報酬をちゃんと受け取れるための条件とは何でしょう?

(1)少なくとも今後20年くらいは、会社の業績が申し分ない

 近い将来、会社の業績が急激に悪化したり、ビジネスモデルが激変し、まったく新しい人材を確保しなければならないような状況になれば、「20年も昔の手柄」なんて、評価する余裕はなくなってしまいます。

(2)少なくとも今後20年くらいは、人事制度がそう大きくは変わらない

 当然、現在の人事制度をずっと維持してもらう必要があるわけです。10年くらい経ったところで「これからは勤続年数ではない、現在の実力に応じて処遇するのだ!」なんてやられた日には、とりっぱぐれること確実でしょう。

(3)少なくとも今後20年くらいは、あなたの成果をきちんと憶えていてくれる

 これも意外と重要ですね。今の上司や社長は、きっとあなたの顔も名前も手がけた本のタイトルも、ずっと憶えていてくれることでしょう。ただ、彼らはそう遠くない将来、会社を後にします。あなたの今の活躍が何らかの形で記録に残るか、あるいはあなた自身が、今後もコンスタントにヒットを飛ばし続けるか。いずれにせよ、社内に存在をアピールし続けられなければ、20年も昔の手柄なんて、すぐに記憶から消えてしまうはずです。繰り返しますが、「将来の出世で払う」という年功序列の掟は、けして明文化されているわけではないのですから…。

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