「この資格があれば安泰」と考える人の大間違い ココナラ社長が語る100年時代の「個人の力」

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「人生100年、80歳まで働くには自分で目標を決めて、課題を見つけなさい!」と言われたら、僕だって嫌だ。「自分のことは自分で決めていい」というのは、義務でなく権利だ。この違いを押さえておくと、無用なプレッシャーを感じずにすむだろう。無理に人と違うこと、自分らしさを追求する必要はない。

「社会システムの部品になる」から「自分というシステムづくり」へ目標を決めるのは自分。実行して達成するのは自分。評価するのも自分。これをひとことで言うと、「セルフリーダーシップを持つ」ということだ。

仕事を探すにしろ、変えるにしろ、何かの目標を立てるにしろ、自分を動かし、その都度、意思決定を下す。この「セルフリーダーシップ」こそ、人生100年時代に必要な「個人の力」その3だと僕は考えている。

社会の部品になることがよかった人生80年時代

どうやって心を満たす仕事を見つけるのか? 見つけたとして、どうやって一歩を踏み出すのか? そんなときにはセルフリーダーシップを発揮して、自分で自分をリードしていこう。人生80年時代は、社会システムのなかでよりよく機能する「社会の部品」になることが、働くうえでは効率がよかった。皆が同じようなことをして機能するシステムだったから、個人は部品であるほうがスムースだったのだ。だが、その社会システムは崩壊し、未来予測が圧倒的に難しくなったのが人生100年時代だ。

ただし、セルフリーダーシップを発揮するというとき、絶対に無理はいけない。ワンマンで強権的なリーダーが力ずくで引っ張っても、部下が誰もついてこないのと同じことが、自分のなかで起きてしまう。また、個人のシステムには限界があるから、他者というシステムと協働してこそ、可能性が広がる。「個人の力」を持ち、自分というシステムづくりをした一人ひとりが、緩やかなネットワークをつくる。僕はそんな社会が理想だと考えている。

「心が満たされる好きなこと」でしか稼げない仕事はしんどいことも多々あり、僕たちはそれを長く続けるのだから、モチベーションを維持する源泉が不可欠だ。かつてそれは組織のなかで評価されることや、昇進・昇給だったりしたが、これからは違う。尊敬できるカリスマ社長のもとで認められるのもいいが、「誰かに認められる」という他者評価は絶対ではない。

人の思惑に縛られるというのは、過去の経験に縛られるのと同じで、未来の選択肢を狭めることになる。昇進や昇給がモチベーションになる時代も過去の話だ。80歳まで働く社会では定年まで昇進や昇給が続いていくことなんてありえない。年齢とともに思うように働けない苦しみと向き合うこともあるだろう。

そこでこれからのキャリアには、「その仕事で、自分の心が満たされるか?」ということが大切になると僕は考えている。心が満たされること、それこそ働くモチベーションの源泉となるし、厳しい状況の中でセルフリーダーシップを発揮する条件だ。心が満たされる好きなことは自分の価値観に合致していることが多いし、そこで頑張れば自分のスキルにもなる。

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