「この資格があれば安泰」と考える人の大間違い ココナラ社長が語る100年時代の「個人の力」

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セルフリーダーシップを発揮して、心が満たされることを夢中でやり続けていたら80歳になっていた。ふと振り返ったら、その道のりが自分のキャリアだった――これは最高のハッピーエンドだ。「お金か、やりがいか」という議論はしばしばなされているし、もちろんお金は必要だ。特にこれからの少子高齢化、そして人生100年時代を考えると、これまで以上にお金が大事だともいえる。

個人の力その1であるスキルには、「稼げるスキル」という面が備わっていなければいけない。そして逆説的だが、「稼げるスキル」は、「稼ごうとしない」ことで手に入る時代になっているのだ。なぜならば、長期にわたり働くことを考えると、今稼げるスキルが、将来稼げるスキルとは限らないからだ。時代にあった新しい稼げるスキルは、「たとえそのときは稼げなくても、本気になって頑張れる」仕事を通じてしか身につけられない。

心を満たす仕事をすることが大事

だからこそ、心を満たす仕事をすることが大事だ。好きなことであれば人は頑張れるし、好きで得意で頑張れる仕事のほうが、お金をたくさん稼げる確率が高くなる。長く働き続けるには、我慢ではなく、やっていてわくわくすることを見つけるべきだ。その意味で、心が否定するものからは、全力で逃げたほうがいい。スキルはひとつでなくていいから、「そこそこ好きで、わりと稼げる仕事」と「稼げなくても心満たされる仕事」の2つを持つというスタイルもいいだろう。

『好きなことしか本気になれない。 人生100年時代のサバイバル仕事術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

やるべきことを一生懸命やりつつも、自分の価値観に従って「ああ、こっちかも」と思ったら違うやり方もとれる、ゆるやかなスタンス。この過去に縛られない自由なスタンスが、得意で好きなことを仕事にするためには大切だ。

では、どうすればいいのだろう? 結論を数式で表現すると、このようになる。「個人の力=スキル+自分の価値観+セルフリーダーシップ」。厳しい現実に直面するこれからの時代に、これは理想論だろうか。

それとも、理想と現実のギャップを埋めていく工夫をすることが、「よりよいキャリア」「よりよい自分」「よりよい世界」を手に入れるためのリアルな方法だろうか。どちらかはあなたの価値観で判断していただきたいが、後者であるというのが僕の価値観だ。

南 章行 ココナラ社長

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みなみ あきゆき / Akiyuki Minami

1975年生まれ。名古屋市出身。慶應義塾大学を卒業後、1999年住友銀行(現・三井住友銀行)入行。2004年アドバンテッジパートナーズ入社。2009年イギリス・オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。現地で出会った「音楽を使った若者向け社会起業プログラム」ブラストビートの日本法人(NPO)設立を主導したほか、オックスフォードの同期が設立したNPO法人「二枚目の名刺」の立ち上げにも参画し、個人の自立・自律をサポートする活動に積極的に参加。東日本大震災をきっかけに、2011年6月にアドバンテッジパートナーズを退社し、自ら代表としてウェルセルフ(現在のココナラ)を設立。知識・スキル・経験のオンラインマーケットプレイス「ココナラ」を運営している。

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