シャープ、今期営業益予想を上方修正 液晶や太陽電池が寄与

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2月4日、シャープは、2014年3月期の営業利益予想を従来の800億円から1000億円に上方修正したと発表。写真は都内で撮影した同社のロゴ(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 4日 ロイター] -シャープ<6753.T>は4日、2014年3月期の連結営業利益予想を従来の800億円から1000億円(前年は1462億円の赤字)に上方修正した。液晶事業を上積みするほか、太陽電池の収益増が寄与する。

売上高も、従来予想の2兆7000億円から2兆9000億円(前年比17.0%増)に見直した。一方で、支払利息、新興国通貨安による為替差損、資金調達関連費用などで営業外費用を200億円積み増したことで、50億円の当期純利益予想は据え置いた。

記者会見した高橋興三社長は、業績予想の上方修正を受けて「50億円の最終利益は確保する」と述べて、取引銀行の支援条件となっている今期の最終黒字化の達成に自信を示した。さらに、昨年5月に策定した中期経営計画も、上方修正の方向で見直す方針を示した。

<液晶事業、中国社への技術指導料など一時収入も>

14年3月期の液晶事業の営業利益計画は従来の300億円から400億円に見直した。スマートフォン向けの中小型液晶が拡大するほか、他社への液晶技術の指導料などエンジニアリング収入が増えた。

2013年10―12月期の液晶事業の営業利益は260億円(営業利益率9.4%)。ただ、このうち、中国電子信息産業集団(CECグループ)と南京市に共同設立する液晶工場の技術指導料などエンジニアリング収入が約200億円を占めた。

1―3月期は、エンジニアリング事業など一時的な収入は見込めないが、採算の高い中小型液晶の出荷を増やして、同事業の利益は530億円(営業利益率2.2%)を確保する計画。

シャープによると、液晶パネルを製造する主力の亀山第2工場(三重県亀山市)稼働率90%前後のうち、中小型液晶の比率は13年10―12月期で約30%で、14年1―3月期は40%に高める計画。もともと同工場はテレビ用の液晶工場だが、採算の高い中小型液晶の比率を増やすことが経営課題で、4―6月期の10%、7―9月期の15%から着実に比率を上げている。

<太陽電池、米社のプロジェクト売却が寄与>

また、太陽電池の営業利益計画も、従来の130億円から240億円に引き上げた。国内メガソーラー向けの販売が伸びるとともに、米国で太陽光発電所の開発を手掛けるリカレント・エナジー(カリフォルニア州)社のプロジェクト売却収入が寄与した。

液晶テレビは、今期販売計画の800万台は据え置いたが、販売金額はテレビの大型化による単価上昇で従来の4000億円から4200億円に上方修正した。携帯電話の販売計画は従来の550万台を維持した。

13年4―12月期の連結営業損益は814億円の黒字(前年同期は1662億円の赤字)だった。売上高は2兆1572億円(前年同期比21.0%増)。13年10―12月期は5四半期連続で営業黒字を確保。構造改革の効果も前年比で利益を押し上げた。

(村井令二 長田善行 編集:宮崎亜巳 宮崎大)

*内容を追加します。

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