人生で大事なのは「ジジ殺し」のスキルである 「サードドア」で奇跡のルートが開かれる

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最近もそういう人に出会ったんですけど、普通は人を寄せ付けない、正面突破では会えないような偉い人がなぜか連れている若いやつは、いちばん怖い。最終的にはその人がいちばん偉くなるっていうことがあるから。サードドアをすり抜けているんです。

師匠の太河さんのところには、僕より若い弟弟子もいます。彼らには、「とりあえずえらい人に顔を覚えられろ」「飲み会の誘いは断るな」とよく話しています。飲み会に行くってことは、相手の世界観を理解するうえで大事なことなんです。世界観を知るには、友だちになる。ガチガチになってはダメ、記念写真なんてNGです。

僕も20代のころは、IT業界のあらゆるカンファレンスのスタッフをしていたんです。そうして「お前いつもいるな」と覚えてもらえて、「どうも!」ってあいさつして。そこからスタートして、お声がかかったら必ず行く。僕らなんて、最初はそうやってとっかかりをつくっていかなかったら、それ以外に登る道がないんですよ。

だから、ずっと飲んでばかりいる時期があったんです。太河さんのところに勤めていたころは、徒歩10分くらいのところに引っ越して、誘われたらいつでも行けるようにしていました。ずっと飲むだけだったらダメですけどね。

上昇気流が来たら、羽を広げてろ

僕の父親は大企業のサラリーマンとして定年まで勤め上げたタイプで、僕は幼・小・中の一貫校で、高校・大学も一貫校卒業。就活のときは新卒で銀行や生命保険会社を希望しているような、劇的なまじめ人間だったんです。もちろん、問題なんか起こさないし、留年なんてありえないような。

それがずれたのが、就活のとき。あのとき偶然、ベンチャーキャピタルの世界を知りました。ネットの掲示板で偶然見つけた、ベンチャーキャピタルに近いことをしている会社で、インターンをしたんです。

その会社は、東大を留年したり、ソニーを辞めたりした超エリートの、当時28、29歳くらいの人たちがやっている会社でした。それを見て、ああ、こういう生き方もあるんだ、という気づきを得て。

まじめ人間からすると、僕が通ったようなルートって、遊んでいるようにしか見えないんですよね。僕も実は、最初はそちらに行かず、リクルートに就職したんです。でもそこに2年半いて、やっぱりこっちのルートがいいと思って辞めたんですけど。レールを踏み外したんじゃないか、と思って怖かった。もう1回やれって言われたら、やっぱり怖いと思う。

そのインターン先の方の知り合いに、ベンチャーキャピタルについて取材している、という編集者の人がいて、なぜか僕をかわいがってくれました。今度取材であのベンチャーキャピタルの社長と飲むから来なよ、という具合に声をかけてくれて。

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