あなたの「老後不安度」を3分で計算してみよう 漠然とした不安で保険に入るのは危険すぎる

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「年金額(P)」は、簡易計算式(※)で求めます。靖友さんは、大学卒業してから65歳まで43年間厚生年金に加入するとして、生涯の平均年収560万円× 43年間× 0.0055 =132万円。老齢基礎年金は満額相当の78万円で合計210万円です。妻の美南さんは、生涯の平均年収330万円× 43年間× 0.0055 =78万円。老齢基礎年金は満額相当の78万円で合計156万円。夫婦の年金額は210万円+156万円=366万円です。

※(P)は、この例のように、サラリーマンなら、長期で働くことを前提に(生涯の平均年収×厚生年金の加入期間×0.0055)+老齢基礎年金78万円、として計算すると簡単です。なお老齢基礎年金は、年収に関係なく、加入期間1年ごとに2万円増えて、満額78万100円(令和元年度)です。65歳まで働き続ける想定で「老齢基礎年金の満額相当の約78万円」としています。

「現役年数(a)」は収入の多い夫に合わせ、65歳-43歳で22年。「老後年数(b)」は一般的に長生きすると言われている女性に合わせます。美南さんは3つ年下のですので、95歳-65歳+3歳=33(年)とします。皆さんも、ぜひご自身の数字を入れてみてください。3~5分もあれば、すぐに計算できるはずです。 

大切なのは「お金の置き場所」

前出の通り、政岡家の必要貯蓄率は、約7%でした。この貯蓄率を守れば老後生活費は毎月約35万円確保できます。今後、仮に、年金受給額が2割程度減るとしても28万円です。今の手取り年収から求めた必要貯蓄額は年間49万円です。何も、外貨建て保険に年間190万円もつぎ込まなくても、老後の心配はありません。

これから、しっかり長く働き続けるために、体調のメンテナンスやスキルアップのための投資など適切にお金をかけながら、しっかり貯蓄していくことです。

もちろんこれらは計算上のことですから、今後の人生ではいろいろなことがあるかもしれません。しかし大切なのは「必要貯蓄率」を決めて、将来のためにお金を貯めていくことです。なぜなら、今の収入は、現在の生活費であり、未来の自分を支えるお金であるからです。「余ったら貯蓄に回す」のではなく、必要な貯蓄をして残りで生活をするという考え方に変えなくてはいけません。

『やってはいけない!老後の資産運用』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そのとき、大切なのは「お金の置き場所」ということになります。効率的にお金を増やすためには、コストがかからないことが重要です。

その点で、外貨建て保険は、運用と保障の両方にコストがかかり、保険会社にも販売者にも手数料が入る仕組みで、保険料支払い時に円をドルに、また保険金受け取り時にドルを円に交換する手数料もかかります。それらはもちろん契約者の資産から支払われます。

読者の方の中でも、「老後が不安だから外貨建ての養老保険にでも入ろうか」と思っている人は、よく考えてくださいね。公的年金をまったく受け取れない前提で、同じくらいの老後生活を確保しようとすれば、必要貯蓄率は60%にもなります。「公的年金」を「お金の人生設計」に入れて必要貯蓄率を求め、実行していくことこそ、「老後の安心」を作る堅実な方法なのです。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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