ソフトバンク、22兆円ファンドの破壊力と不安 さらなる飛躍の幕開けか、暴走の始まりか
1号ファンドのIRR(内部収益率)は年率換算で45%だった。「ベンチャーキャピタル(VC)の世界平均は13%。始める前は『ファンド規模が大きすぎて平均を下回るのではないか』と多くの人に言われた」(孫氏)が、今のところ好実績を残している。
2号ファンドも巨額
SBGは8月7日の決算説明会で、2号ファンドの全貌も明らかにした。想定している投資先は1号と同様、AI関連のユニコーンだ。投資規模は基本合意したものだけでも1080億ドル(約11.7兆円)に上る。主な出資者は米アップルや米マイクロソフト、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、日本の金融機関など。SBG自身も380億ドル(約4兆円)を出資する。
サウジアラビアなど1号ファンドの出資者とも交渉を継続しており、規模は1号ファンドより大きく膨らむという。2号との合計で少なくとも総額22兆円になり、「米シリコンバレーのVCが1995年から現在までに投資した累計額に匹敵する」(孫氏)。
2号ファンドを設立し、さらに12兆円以上もの資金を投じる先があるのかという疑問は生じる。投資先の米ウーバーやウィーワークが巨額赤字を計上するなど暗雲も垂れ込めるが、孫氏は「ユニコーンは過去10年間で社数が70倍になった」と指摘する。AIであらゆる産業の既存のビジネスモデルを大きく変えるユニコーンが、まだまだ出てくるとみているようだ。
柳井氏は、6月の株主総会で「(孫氏は)行きすぎると転ぶ」「株主から勇気をもらいすぎると暴走しかねない」とクギを刺した。2号ファンドは早ければ9月、遅くとも11月には運用を始める見込みだ。さらなる飛躍の幕開けか、暴走の始まりか。孫社長の“稀代の投資家”としての真価が問われそうだ。
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