プロジェクトは「最終報告」の目次から考える 不確実性が高い状況にこそ相応しい仮説思考
その際に、とにかく完成度を犠牲にしてでも「すぐに」「ある情報だけで」(それがどんなにわずかな情報でも)仮の答えを(精度が著しく低くても)出すというのが仮説思考の発想です。
ポイントは、ここで言う「結論」は最終結論ではなく、あくまでも「仮置きした一時的結論」であり、いくらでも修正して構わないことです。
【WHY】不確実性が高い状況にこそ相応しい
十分な時間や情報がない場面で最も効率的に最終目的地にたどり着くためには、仮説思考の発想が求められます。
仮説思考というのは基本的な考え方であり、仕事の進め方の哲学そのものなのです。
というように、この発想法の定義について語るのは簡単なのですが、実際のビジネスの現場では意外に実践が難しいのがこの仮説思考「的」な考え方です。
逆説的ですが、仮説思考の効用を説明するために仮説思考的な発想が実践できていない状況を具体的に列挙してみましょう。
・上司に「仕事の進捗を教えて」と言われた部下が「もう少し待ってください」と、なかなか報告を出してこない(「一発で決めよう」とする思考)
・「まずは見てこよう」というだけで、その後、出張報告以外何の結果にもつながらない視察旅行(その後に何をするのか?というアクションの仮説がない)
これらいずれも仮説思考が徹底できていないことの例です。
仮説思考と非仮説思考との比較は、以下のとおりです。
・仮説思考は「拙速主義」。非仮説思考は「完璧主義」。
・仮説思考は「スピード重視」。非仮説思考は「正確さ重視」。
・仮説思考は「限られた時間と情報で最善の答えを出す」。非仮説思考は「すべての情報を集めて十分な時間を取る」。
「すぐに」「ある情報だけで」仮の答えを出すという仮説思考は、簡単なことのようで実践は難しいのです。その理由は、この発想法の根本にある基本的な考え方を十分に理解しないままに表層的に運用しようとするからです。
まず理解しておくべきことは、仮説思考を用いるには相応しい状況があり、それは一言で表現すると「手に入る情報が少なく不確実性が高い」状況下であるということです。具体的には新規事業など新しいことをやるときや従来のやり方を変えるときなどです。
これに対して仮説思考がなじみにくいのは従来の延長で話が進むような定型度の高い、すなわち「不確実性が低い」領域です。
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