あおぞら銀「メガでも地銀でもない」戦略のわけ ネット銀設立、地銀支援や不良債権ビジネスも

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――あおぞら銀行の特徴として、地方銀行との連携が挙げられます。地銀の収益はとくに厳しく、再編の議論も出ています。

従来のビジネスモデルに依拠していくことはできないというのは、はっきりしている。合併や再編は手段でしかなく、金融機関を減らせば解決する話ではない。合併しても単独でも、効率化はやらなければいけない。

「われわれは地銀と競争環境になく、協調できる」と語るあおぞら銀行の馬場社長(撮影:佐々木仁)

地銀が考えていくべきことは、地域経済の活性化。地方が元気になるために何ができるか、それをビジネスにどう取り込むかだが、その答えが出ている地銀は少ないように見える。一部の地銀は(地域の商品の販路を拡大する)「地域商社」やビジネスマッチングを進めている。それらが1つの方向性ではないか。

われわれは地銀と競争環境にはなく、協調できる。例えば事業承継の分野では、2年前に専用のM&Aアドバイザリー会社を作り、68の金融機関と業務提携した。事業承継のニーズはたくさんあるが、その地域だけではなかなか完結しない。(事業承継などの)経験のない地銀もあり、当社に研修に来てもらうなど、いろんな形でサポートしている。

不良債権ビジネスは再び拡大する

――不良債権ビジネス(経営不振企業向けの投融資を通じて事業を再生させるビジネス)もあおぞら銀行の得意分野です。

不良債権ビジネスには過去20年以上取り組んできた。最も強い業務の1つだ。直近ではアメリカで、倒産企業向け運転資金のシンジケートローンに参加した。日本ではこのところ大型の破綻案件がなかったが、クレジットサイクルが後退局面に入れば、再び拡大する可能性がある。

亀井静香・元金融担当相の時代に作られた「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」から10年が経ち、地銀の中でも引き続き支援する先と支援しない先を見極める動きが出てくるのではないか。これまで無理をして支援してきた企業には、一種の「引導」を渡すような動きも出てくるだろう。

日本銀行による異次元緩和が続く中、地銀の中には無理にお金を貸してきた部分もある。国内でクレジットサイクルが悪化すれば、それが表面化してくる。あまり明るい話ではないが、その時が来たら、ビジネスとしてお役に立っていきたい。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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