中国人は、なぜ食い散らかすのか?   食がわかれば、中国ビジネスがわかる

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とはいえ、最近はアメリカ文化の影響からか、食べ残したらお持ち帰りにドギーバッグを用意するレストランも出てきた。北京や上海では欧米留学から帰ってきた中国人が先導する形で、「お持ち帰り」にするのが、一部ではファッションになってきている。環境に目覚めた中国人の間では、日本の「もったいない」文化も理解されてきたようだ。

実は35年前(1979年春)に初めて行った広州交易会の思い出だが、あるホテルで、「手をつげず大量に食べ残した料理はどうしているのか」が気になった。それでホテルの厨房まで入らせてもらい、チェックしてみた。すると、残飯はまとめてトラックに積んで、養鶏場や養豚場に運ばれることがわかった。

79年の記憶では、中国の食料事情は劣悪だったにもかかわらず、宴会ではご馳走をたくさん残し、残飯を平気で捨てていたのである。そうした当時の中国の食糧事情が頭の片隅に残っていただけに、改めて中国の宴会文化の心意気を感じた。

黙っていたら、生きていけないのが中国

さて、中国の食事といえば、やはり丸テーブルの食事だ。全員が平等で楽しく食事ができるので、私は大好きである。正式な宴会の場合は席順が重要に扱われるのだが、気心の合った得意先との食事などでは、序列をあまり気にせずに和気あいあいと食事が楽しめ、会話も弾む。言ってはなんだが、欧米の高級レストランで肩の凝るようなマナーを気にしながら格好をつけるよりも、よほど、中国の会食のほうが気楽だ。

ただ、この丸テーブルの食事は、悪評も高い。特に海外の団体旅行のマナーは、世界中で問題になっている。周囲の迷惑などはばからず、大きな声でしゃべりまくるから、あまりにも目立ちすぎるのだ。食べながら大声でペラペラしゃべるので、周りのお客さんはゆっくり食事を楽しむことができないことも多い。

中国は多様性のある多民族社会だから、黙っていたら生きていけない競争社会なのである。そんなこともあって、中国料理の店では他人に迷惑をかけないように、個室が多いのかもしれない。ともかく、中国人は食事のときぐらいは格好をつけず、やりたい放題に楽しみたいというのが中国の一般人の発想だ。中国人の肩を持って言わせてもらうと、昔は日本人だってうるさかったし、今だって決して威張れるような団体客ばかりではないのだから、大目に見てあげてほしいのだ。

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